ルネサス エレクトロニクスは7月6日、NokiaとHSPA+やLTE以降の通信規格に向けた半導体ソリューションとモデム技術の開発について戦略的事業提携契約を締結、これまでの協力関係を強化することに合意したことを発表した。

同事業提携の一環として、両社はNokiaのワイヤレスモデム事業をルネサスに約2億ドルで譲渡する契約を締結したほか、今後両社が次世代モデム技術についての長期的な共同開発を行うことも決定した。

ルネサスのモバイルプラットフォーム概念図

今回のNokiaのワイヤレスモデム事業の譲渡により、ルネサスはNokiaの技術資産・エンジニアリングノウハウと、自社のマルチメディア処理技術およびRF技術を組み合わせ、先端モバイルプラットフォームソリューションを提供することが可能となり、モバイルプラットフォームとして、アプリケーションプロセッサ、RF-IC、ハイパワーアンプ、電源ICとNokiaのモデム技術を組み合わせたチップセットを中核にしたターンキーソリューションの供給を行うこととなる。

Nokiaのワイヤレスモデム事業は、これまで世界中で長年、何十億台もの携帯電話に使われてきたGSM/HSPA/LTE規格のモデム技術・特許を有している。これにより、ルネサスは、GSMからLTEという広範囲な通信規格に対応し、かつ高度なマルチメディア処理が可能なワンストップ型モバイルプラットフォームを提供することで、3G/LTE市場での高いシェアを獲得することとなる。

また、ワイヤレスモデム事業の譲渡に伴い、フィンランド、インド、英国、デンマークなどに拠点を構えるノキア同部門の従業員約1,100名も、ルネサスに移管されることとなる。同事業譲渡に関する人員の移管について、Nokiaは、人事部門とともに各地域の労働法により必要となる人事的協議プロセスを開始するとしており、同譲渡は、関連法規制面での承認手続きを経て、2010年10~12月期に実施される見通しとしている。