Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは7月6日、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)の分析性能を超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)に向上させながら、同等程度の価格を実現した「Agilent 1200 Infinity LCシリーズ」を発表した。また、併せてトリプル四重極液体クロマトグラフィ質量分析装置(LC/MS)「Agilent 6490 トリプル四重極LC/MSシステム」も発表した。
Infinityシリーズは、一体型の低コストモデル品「Agilent 1220 Infinity LC」およびHPLCクラスの価格でUHPLCの性能を実現するモジュールタイプ品「Agilent 1260 Infinity LC」の2つの新製品および、従来のナンバリングモデルの機能を拡張したハイエンド向けモジュールタイプ「Agilent 1290 Infinity LC」の3製品で構成される。
1220および1260は、すべての構成でシステム耐圧60MPa(600bar)、データ取り込み速度80Hzを実現している。また、紫外線(UV)検出器の感度は、新開発のダイオードアレイ検出器(DAD)を用いることで、従来比で10倍以上の感度を実現。従来見えなかった0.001%不純物の検出も可能となった。
さらに、従来機種で用いられてきたメソッドとの完全互換を実現。これにより、既存製品との置き換えなどによって生じる可能性があるメソッドの構築しなおし、といった課題を速やかに解決することが可能となる。
アジレント・テクノロジー取締役執行役員でライフサイエンス・化学分析本部長の合田豊治氏 |
同社取締役執行役員でライフサイエンス・化学分析本部長の合田豊治氏はInfinityシリーズについて、「すべてのHPLCをUHPLC化することで、一般的なUHPLCの性能をHPLCのスタンダードへと引き上げ、HPLCの価格でUHPLCのパフォーマンスと従来比10倍の感度を実現したい」と意気込みを見せる。
一方の6490は、大気圧イオン採取プロセスを進化させ、どのような用途でも感度を向上させることが可能な「iFunnel技術」を採用しており、現行機種比で10倍の感度を実現しつつ、設置面積を25%削減することが可能となっている。
iFunnel技術は、Agilent Jet Streamサーマル・グラジエント・フォーカシング技術を用いることで、効率よく気相イオンを生み出し、これらイオンが従来システム比で約12倍のイオンを受け入れる平行した6つのキャピラリ(ヘキサボア・キャピラリ・サンプリングアレイ)を通り、その後Dual Ion Funnelアセンブリによって集束され、気化した溶離液から分離される。第一の高圧Funnelは、溶離液のほとんどを除去してイオンを第2の低圧Funnelに集束され、そこで残りの溶離液が除去され、目的のイオンのみをQ1オプティクスに送ることが可能となる。
これにより、ゼプト(10-21)モル(1mol=6×1023)の感度を実現。例えば、化合物のベラパミルでは、200ゼプトモル(200×600個の分子)を検出することが可能となっている。
標準価格は、Infinityシリーズは、1220が200万円から400万円程度、1260が400万円から800万円程度、1290が900万円から1200万円程度としている。また、6490はマス単体で5200万円から、としている。同社では、これら、特にInfinityシリーズを注力して提供していくことで、日本国内市場の現在の市場シェア(10%弱程度)を3年間で2倍に引き上げることを目指すとしている。