矢野経済研究所は7月1日、「ユーザ企業の海外拠点へのIT投資に関する調査結果 2010」を発表。2009年度の全社IT投資における海外向けの比率が1割強だったのに対し2012年度には2割近くもの割合になることが見込まれるなど、企業の海外事業に対する意欲の高さが客観的に示される結果となった。
同調査は現在海外拠点を持つ、または今後海外に拠点を持つ予定がある国内企業139社に対して2010年5月に実施されたもの。
調査結果では、2009年度の海外IT投資比率が12.8%となったことが判明。2012年度の目標としては、この割合が19.5%となり、中期的に海外投資比率を伸ばす考えを持っている企業が多いことがわかった。
同調査ではとりわけ中国に対する企業のIT投資意欲の高さが浮き彫りとなっており、「今後3年間でもっともIT投資が増加する地域」については、52.8%もの企業が「中国」と回答している。
また、2009年度のIT投資の地域別の増減(対前年度比)については、中国で「投資を増加した」と回答した企業の割合が39.5%と最も高くなっている。
なお、分野別の投資意欲に関する調査内容については、ハードウェア分野ではネットワークなどのインフラ、ソフトウェア分野では販売・在庫管理システムへの投資意欲が高いという結果となった。
同社はこの点について、「ハードウェア面では中国など新興国ではインフラ整備にまだ課題があること、ソフトウェア面では、販売力を強化するためのシステム導入やシステム機能強化を検討している企業が多いことがある」という見解を示している。