大日本印刷(DNP)は、主に結晶系Si太陽電池に適したポリオレフィン系封止材「CVF1」を開発したことを発表した。

同製品は、従来製品が有する水蒸気バリア性と酸性ガスを出さない化学的安定性に加え、高い透明性と、低温から高温までの広い温度範囲で優れた柔軟性を有し、かつ耐熱性を示すという結晶系太陽電池に必要とされる性能を実現しており、薄膜系太陽電池から結晶系太陽電池まで、適性を拡大することに成功している。すでにサンプル提供を開始しており、カスタマによる信頼性試験が完了次第、量産を開始する計画。

太陽電池の封止材は、太陽電池セルや集電配線を固定し、表面のガラスと裏面のバックシートを接着して外部環境から太陽電池を保護するシート材で、耐候性と信頼性が求められており、現状、素材として主にEVAが使用されている。

今回、新たに開発したポリオレフィン系封止材"CVF1"は、低温に温度変化した際の収縮応力がEVAの5割程度と小さく、低温での柔軟性が優れているほか、一般的なEVAを使用した製品の場合、フィルムとセルやガラスを貼り合わせる真空プレス後に、樹脂の分子結合を強める架橋を起こすための「キュア工程」 が必要だが、それを不要にすることができ、そのため太陽電池モジュールメーカーでの製造時間の短縮と製造コストの削減が可能となる。

また、高い耐熱性を有するほか、全光線透過率も92%と、EVAと同等性能を維持、配線や製造装置などの腐食の原因となる酸性ガスが発生せず、シェルフライフ(未加工の状態での品質保持期限)も、未開封であれば、常温で18カ月間と、EVAと比較して約3倍の期間の保管が可能となっている。

さらに、EVAの約10倍の水蒸気バリア性を実現。これにより、太陽電池の機能低下を招く恐れのある水蒸気からより高い保護性能を発揮することが可能となっている。

なお、DNPでは、同製品を日本、中国、ヨーロッパ、北米の太陽電池モジュールメーカー向けに販促を行い、2012年度で50億円の売り上げを目指すほか、バックシートについても、結晶系太陽電池に用いられるフッ素樹脂フィルムを使用したタイプのラインナップを拡充していくとしている。