米Cisco Systemsは6月29日(現地時間)、米ネバダ州ラスベガスで開催されている「Cisco Live!」カンファレンスでAndroidベースのタブレット製品「Cisco Cius」を発表した。

Apple iPadを筆頭に、最近になり続々と各メーカーが参入しているタブレット市場だが、Cisco Ciusは「Mobile Collaboration Business Tablet」と銘打っているように、エンタープライズ市場をターゲットにしたモバイルとコラボレーションのためのツールという位置付けが行われている。7インチディスプレイ内蔵で0.52キログラムという筐体に、8時間駆動可能なバッテリと、最近リリースされているタブレット製品としては中型サイズにあたる。だがなにより、その最大の特徴はドッキングステーションとフロントカメラの部分にある。

提供されるドッキングステーションはHDスピーカーを内蔵した卓上電話のような形状をしており、Ciusを合体させることで卓上TV電話として機能するようになる。Ciusにはフロント部分に5メガピクセルのカメラ機能を内蔵しており、これを通して720pでの30fpsのHD品質ビデオ会議が可能となる。タブレット単体でもIEEE 802.11 a/b/g/nによるWi-Fi通信でのビデオ会議や動画ストリーミングが可能だが、ドッキングステーションを介在させることで有線でのネット接続や、HD DisplayPortやUSBによるさらなる拡張が可能となる。ビデオ会議用アプリケーションとしては、Cisco Quad、Cisco Show and Shareだけでなく、WebExはもちろんのこと、同社TelePresenceとの接続も可能になっている。

ビジネス・タブレットと銘打ってはいるものの、Androidゆえの自由度の高さや、モバイル利用を想定したバーチャルデスクトップ環境など、プロフェッショナルユーザーのリモート環境での利用やいわゆるSOHO環境での活用など、いろいろ豊富な利用シーンが想定できる。特にフロントカメラと対人コミュニケーションツールは家庭やビジネス現場でのタブレット普及のキラーアプリケーションとも言われており、この点に最初からフォーカスしたCiusはその点で面白い。

Ciusは当初、2010年第3四半期より一部テストユーザーへの提供が開始される。その後、2011年第1四半期には一般向けリリースが行われる予定だ。

モバイル・コラボレーション・ビジネス・タブレット「Cisco Cius」