Mentor Graphicsは、米国オーランドで開催されたFreescale Technology Forum(FTF Americas)の会場で、Freescale Semiconductorの製品をサポートする商用Linuxプラットフォームを発表した。これは過去に両社が結んだ組み込み用Linuxプラットフォームの戦略的提携に基づくものである。

このプラットフォームはFreescaleとMentor Graphicsの技術を利用したもので、オープンソースのLinuxのソフトウェアとツールを包括しつつ、さらにメンテナンスとサポートが提供される。これにより、ワークフローの方法論が一本化され、FreescaleのQorIQやPowerQUICCプロセッサを使ったアプリケーションを高生産性と低リスクの環境で構築できるものである。

MentorのEmbedded Linuxプラットフォームは、現在QorIQ P4080とP2020マルチコアプロセッサ、それにPowerQUICC 8572/8377に対応しており、さらにFreescaleの新しい低消費電力のQorIQ P3041と高性能64bitのe5500プラットフォームに対応する(これにはデュアルコアのQorIQ P5020プロセッサとシングルコアのP5010プロセッサが含まれる)。このEmbedded Linuxプラットフォームは、Freescaleの32bit及び64bitプロセッサと完全互換である。

このプラットフォーム自身は完全に統合された、ベンダ非依存ソリューションであり、これは商用Linuxや開発ツールをリファレンスプラットフォーム上でのプロトタイピングからシームレスにカスタムデザインハードウェア上での稼動に移行することを容易にする。また、Freescal製品を利用する顧客が、より短い時間で安定したアプリケーションを構築することも支援する。

このプラットフォームの中核をなすのは、Mentor Embedded System Builderと、Mentor Embedded EDGEテクノロジである。System Builderは強力かつ柔軟なビルドエンジンであり、仮想的にどんな形でも可能なプラットフォームカスタマイズ能力をシステム開発者に提供する。EDGEテクノロジはEclipseプラットフォーム上で動作するが、Mentorの提供するプラグインにより拡張されている。デバッガやターゲットエージェントと協調動作し、ハードウェアそのものやカーネルからデバイスドライバやアプリケーションまでの範囲を、マルチコア/マルチOS環境で利用可能である。

このプラットフォームではまた、テストおよび検証済の商用品質のツールチェーンの他、プリコンパイルされたランタイムバイナリ、およびメンテナンスとサポートが提供される。System BuilderはADK(Application Developer Kit)を生成し、これはアプリケーション開発者がEDGE IDE経由もしくはコマンドラインから利用することができる。

なお、このプラットフォームは2010年7月より出荷予定である。