薄膜太陽電池のターンキーソリューションなどを手がけるアルバックは6月28日、タンデム型薄膜太陽電池製造工程でのモジュール内の局所的な光電変換効率およびTCO(Transparent Conductive Oxide)のヘーズ(HAZE)を測定評価することが可能な局所効率・ヘーズ測定装置「MPEC-opt1300」を発表した。7月1日より販売を開始する予定で、価格は8400万円(オプション含む)で、初年度5台の販売を見込んでいる。

局所効率・ヘーズ測定装置「MPEC-opt1300」

従来、タンデム型の薄膜太陽電池の効率分布を評価するためには、評価基板を用意(基板の切断)し、ミニセルの形成を実施(電極形成、基板切断、絶縁加工、はんだ処理)、測定を行い、そしてデータ収集を行うという工程が必要であり、かつ人手で行う部分もあることから、相当な時間を必要としていた。

同装置では、レーザを活用することによるミニセル作成機能を搭載しており、1100mm×1400mmまでの基板を切断することなく(5mm程度が基本値で設定により変更可能な)ミニセルを作成し、局所効率測定およびヘーズ測定が可能となっている。基板を破壊しないため、評価用基板のみならず、ライン上の基板から抜き取り評価したり、ライン検査用のソーラシミュレータと評価結果の比較を行うことも可能となっている。

MPEC-opt1300に搭載されている機能各種

局所効率測定では、小型のソーラシミュレータを内蔵。基板内の任意の場所に作成したミニセルのI-V特性(Photo/Dark選択可能)を測定し、効率(Eff)をマッピングすることができる。これにより、セルのどの部分が悪いのかを調べ、セル内の効率を調べ、セルの悪い部分を確認することが可能となる。また、効率のほか、短絡電流や開放電圧、フィールドファクター、最大出力、直列抵抗などの各種抵抗の評価も可能となっている。

薄膜太陽電池の不良箇所(左のI-V特性図における一番左の赤線のようなもの)の特定が可能なほか、マップとして基板全体を見ることも可能

このため、例えば従来の測定方法では、ミニセル作成にガラスカット約180秒/点、はんだ約300秒/点かかっており、測定点が81点あった場合、合計で4万4955秒(約750分)かかっていたものが、同装置を活用した場合、レーザカットによるミニセル作成で約30秒/点(XY移動時間含む)、81点測定で5670秒(約95分)で終えることが可能となっている。

上が従来の局所効率測定に費やしていた時間、下がMPEC-opt1300を用いた場合の局所効率測定の時間

また、ヘーズ測定機能としては、TCOのヘーズ値を測定し、基板内の分布を1点あたり30秒の速度でマッピング表示することが可能。そのほか、全光線透過率、拡散透過率、平行光線透過率の解析も可能だ。

ヘーズ分布測定の例

さらにセル内のシャント抵抗値の分布測定も可能なことに加え、オプションとしてセルごとのシャント抵抗値を一括測定するマルチプローブヘッドやレーザを用いたリペア機能も搭載している。

シャント抵抗の測定も可能

加えて、2009年より販売している薄膜特性評価装置「MPEC-1300」の測定結果も解析することが可能な「MPEC 統合解析ソフト」もオプションとして用意。これにより、同装置での効率やヘーズの分布データと膜厚や結晶化率分布データの統合表示が可能となっている。