東京 表参道に開かれていたアドビの期間限定ギャラリー「station 5」にて、イラストレーター 有田満弘氏を招いてセミナーが開催された。セミナーでは、有田氏による「Photoshop CS5」のTips紹介や、ライブペインティングなどが行われた。有田氏は「Photoshop CS5」とワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」を使用して、華麗なテクニックを披露した。会場にはワコム タブレット事業部 宝園孝彦氏と、アドビ システムズ 製品担当 栃谷宗央氏も登場し、それぞれの製品概要を紹介した。宝園氏は「『Photoshop CS5』はブラシ機能が強化されました。それらをマウスで制御することはできません。ですが、液晶ペンタブレット『Cintiq 21UX』ならばブラシ機能をフルに使い切ることができます」と語った。

有田満弘氏

ライブペインティングを始める前に、有田氏のこれまでの仕事が紹介された。会場のスクリーンには、有田氏がこれまでに手がけたイラストが次々と映し出された。有田氏のイラストは写実的な画風が特徴。小説『ガフールの勇者たち』(メディアファクトリー)では、挿絵を担当。この作品は、高度な文明を持ったフクロウたちのファンタジーストーリー。この仕事について有田氏は、「フクロウを描くときに資料を探したが、国内の資料だけでは物足りなかった。海外の資料まで探した」と制作秘話を明かした。

知能を持ったフクロウたちによる冒険物語。躍動的なフクロウは多くの資料を基に描かれている

まるで絵の具で描いたようなイラストを、「Photoshop」だけで作り上げる

イラストを描くツールについて有田氏は、「基本的には『Painter』か『Photoshop』ですが、描く時期によって変わります。背景には3DCGを使うこともあります。ですが、どのツールを使っても最終的な仕上げは『Photoshop』です」と語った。

大ヒットオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXI』のイラスト

同じく『ファイナルファンタジーXI』のイラスト。有田氏はモノクロのイラストも描く

『カルドセプト サーガ』のカードのイラスト

新紀元社から刊行されている『騎士団』の表紙イラスト

有田氏は仮面ライダーの描き方を例に自身の仕事の苦労話を語ってくれた。有田氏によると、「『仮面ライダー』の仕事はいつも大変です。スーツの材質は透明だったり光沢だったりしますから。それに、各ライダーをうまくレイアウトするのにも頭を使います。どのライダーも主役を張れるキャラクターなので、自分が好きなライダーばかり大きくならないように注意して描いています」とのこと。

『仮面ライダーバトル ガンバライド』のカードイラスト

まるで写真のようなリアルなイラスト

こちらもオリジナル作品

イラストレーターが注目する「Photoshop CS5」の新機能

有田氏は『Photoshop CS5』を1カ月ほど使用しているという。そんな有田氏が仕事で使っていて気になったPhotoshop CS5の新機能を紹介した。

まず最初に紹介されたのは、マウスドラッグで無段階ズームが可能になった「ズームツール」。有田氏は「これはすばらしい機能です。もう『CS4』には戻れませんね」と大絶賛する。ちなみにこの機能、ズーム中にHキーを押すと、拡大したいエリアを瞬時に狙えるという便利な機能が付いている。

「イラストレーターの仕事ではとても重要」と有田氏が紹介したのが「スポイトツール」。今回からスポイトで色を拾う際に、カーソルの位置に「スポイトリング」が表示されるようになった。このリングには、これから拾う色と現在選択している色が上下に表示されている。微妙な色の違いを視覚的に確認できるようになった。

画像を自由な形に変形させる「パペットワープ」。完成間近のイラストを修整するときに便利な機能だ。有田氏は「よほどムリな形に変形させなければ、仕事でも十分に使えるレベルです」と紹介した。

「背景のペインティングで使える。パペットワープと併用すると便利」と有田氏は「塗りつぶし(コンテンツに応じる)」を紹介した。背景を描く途中、まだ描いていない部分にも自動的に背景を生成してくれる。

「半乾きの絵の具のような表現ができる」と有田氏が紹介したのが「混合ブラシ」。水墨画のようなイラストも描きやすいそうだ。

半乾きの絵の具のように、なぞった部分の色が伸びる

機能紹介をしながら短時間で描いた水墨画風のイラスト

続報では、有田氏によるライブペインティングの模様をお伝えする。

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