3年の長きにわたって続いていた米Google傘下のYouTubeと米メディア大手Viacomのの著作権侵害裁判で、米ニューヨーク州南地区連邦地方裁判所は6月23日(現地時間)、Google/YouTubeの活動がデジタルミレニアム著作権法(DMCA)におけるセーフハーバーの対象になるとの見解を示し、事実上Google側の勝利となる判決を下した。敗訴したViacomは、すぐにも控訴の意向を示している。
今回の判決の元となる裁判は、2007年3月にまでさかのぼる。ViacomはMTVやNickelodeon、Spikeなどのエンターテイメント系TVチャネルを多数抱えるメディア企業。YouTube上には同社に無断で著作権侵害となる動画コンテンツが多数アップロードされており、YouTubeならびに親会社であるGoogleに対して10億ドル以上の損害賠償請求を求める訴えを米ニューヨーク州南地区連邦地方裁判所に起こした。
同裁判で争点となったのはYouTube側の管理体制とその責任の所在だ。前述のデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act: DMCA)では、著作権侵害訴訟がISPのようなインフラサービス事業者に波及するのを防ぐため、違法動画削除への協力行為が認められれば、セーフハーバーとして著作権侵害の責任を問われないとされている。YouTubeではGoogleとの共同作業でデジタルシグネチャを利用した著作権判別システムの導入を行っており、これが違法動画の抑制に一定の効果が得られ、かつYouTube側の一連の違法動画削除協力行為がセーフハーバーの対象になっているかが問題となっていた。今回の判決では、YouTubeの行動がセーフハーバーの対象になり、Google/YouTubeの主張がほぼ全面的に認められるものとなった。
Google/YouTubeではこの判決を歓迎する意向をすぐに表明しており、一方で敗訴となったViacomではすぐにも控訴を計画している旨の声明を出している。今回の決定を出したLouis Stanton判事の判決文のPDFファイルは、Googleのサイト上(PDFファイル)で全文が読めるようになっている。