日本電気(以下、NEC)は6月23日、ホテル業に必要なITシステム一式をクラウドベースで提供するソリューション「ホテル総合クラウドサービス」を発表した。

NEC 流通・サービス業サービスソリューション事業部 事業部長の石井力氏

ホテル総合クラウドサービスは、基幹業務システムに加えて、デジタルサイネージ、PBXなど、NECが提供する各種ソリューションを総合的に活用してホテル業を支援するサービス。業務アプリケーション、PBX、さらにはデジタルサイネージに対するコンテンツ配信機能までをクラウドサービスとして提供するため、コストや導入期間を抑えられるというメリットがある。

例えば、初期導入作業は、ルータやスイッチの設置と各種の設定作業程度。従来約1カ月を要していた導入期間が約1週間で済むという。

また、コスト削減に関しては、基幹業務システムの導入費で従来比約30%減、電話導入/運用費で従来比約35%減が実現できる見込み。NEC 流通・サービス業サービスソリューション事業部 事業部長の石井力氏は参考価格として、「100室程度のホテルであれば、初期費用540~550万円、月額費用25万円くらい」という数字を示した。

同サービスの主なメニューは以下の通り。

ホテル総合クラウドサービスの主なメニュー

NEC 執行役員の中江靖之氏

上図の「ホテル基幹業務サービス」部分には、NECが以前から提供している業務アプリケーション「NEHOPS」を採用。宴会場/レストラン/ルームサービス等で発生した料金の管理や空室管理などが行えるほか、売上/経営分析機能、購買機能、顧客管理機能等も備える。最上位エディションでは、優良顧客の抽出や対象顧客に対するダイレクトメールの一括送信なども行えるという。

また、基幹業務アプリケーションとデジタルサイネージ/PBXを連携させ、宿泊客に適したサービス案内をデジタルサイネージ/電話機に表示させたりすることも可能だ。将来的には、宿泊客がチェックアウトすると、その旨が清掃員の携帯電話に通知される仕組みや、車のナンバープレートを自動認識して宿泊者を特定し、係員の対応をスムーズにする仕組みを提供していく予定。

NECでは、同ソリューションを国内および中華圏を対象に展開していく考えで、今後5年間で2000ホテルへの導入という目標を掲げている。

業務アプリケーション(ハイグレード版)の画面。各顧客の画面にRFM分析の結果(画面右上)などを表示することもできる

ホテル総合クラウドサービスでの活用が見込まれているNECのデジタルサイネージ。左側のカメラ付きのものは、ディスプレイ閲覧者の性別や年代、閲覧時間などを分析することも可能。閲覧者の属性(性別/年代など)に合わせて表示内容を変更することもできる