内田洋行は6月22日、東京・中央区にある新川本社ビルの報道関係者向け内覧会を行った。1971年に竣工した築39年の本社ビルのリニューアルにあたり、LED照明を全館に導入、照明における消費電力およびCO2排出量を大幅に削減した点が最大の特徴。内田洋行 代表取締役社長の柏原孝氏は「この本社ビルは内田洋行が提唱するユビキタス・プレイスを実現する場所。築39年のビルでも環境に配慮した現代的なオフィスとして生まれ変われることを実証する」と語る。創業100周年を迎えた節目の年に、リノベーションしたビルで新たなスタートを切る同社だが、そこには環境へのこだわりだけでなく、さまざまなメッセージが込められているようだ。
新川本社ビルでは、5月に内田洋行が販売開始したLED照明「Ubiqulight(ユビックライト)」シリーズを全館で採用、人感センサーや照度センサーとの自動連動や、ネットワークおよびアプリケーションによる制御を駆使し、年間消費電力およびCO2排出量の63%削減を実現している。そのほか、2011年11月の竣工を前に、耐震補強やアスベスト除去、木材や植物の活用、セキュリティの徹底、ネットワークインフラの完備なども実施、大規模なリノベーションに備える。「いまや時代はフローからストックに移りつつある。すでにある資産をどう活用していくか、これからの企業は必ずその問題にぶち当たる」と語るのは内田洋行 取締役会長 向井眞一氏。新築のビルと変わらない、もしくはそれ以上に安全で快適なオフィス環境を築39年のビルで実現することに意義があるとする。
内田洋行は、現在、新コーポレートビジョンとして「ユビキタス・プレイスを創造するインテグレータになる」を掲げている。これを支えるのが「情報・オフィス・教育」の3本柱だ。これを受け、新川本社ビルは単なるオフィスとしてだけでなく、内田洋行が提唱するビジョンを実現するコミュニケーションやコンテンツのデモを行うショールームとしても機能する。コンセプトは「ユビキタス協創広場 CANVAS」 - 向井会長によれば「このオフィスは真っ白なキャンバスのようなもの。社員や訪れた人が自由に絵を描いてほしい」という思いが込められているという。
「ユビキタス・プレイスが実現するのは、"いつでも、どこでも、だれでも"情報にアクセスできる環境。ネットワーク社会が高度化するいま、オフィスも教育現場もそのあり方が大きく変わりはじめている」と向井会長。"ストック"を活かした新川本社ビルは、新しいICT社会の「働く場」「学ぶ場」を体感できる興味深いスポットになりそうだ。
新川本社ビルの天井は、どのフロアも基本的には鉄骨が"むき出し"になっている。これは、"オフィスの中のオフィス"であるスケルトンボックスをビルトインしやすくするため。ネットワークや照明などはすべてスケルトンボックスに収納できるようにしている。プロジェクタなどを天井に固定させてしまうとフレキシビリティが殺がれてしまう理由からだそうだ |
"教育の内田洋行"らしく、教育コンテンツも充実。左は電子黒板に映し出された問題をタッチして答えを表示させたところ。右はAR(拡張現実)を使ったコンテンツ。説明員が手にしているボードには何も載っていないが、画面には3Dで人体模型が映っている |