「Adobe CS5 Web Premium」の制作現場向け機能をチェック

「Adobe Creative Suite 5 Web Premium」

Webデザインのための製品群をワンパッケージにした「Adobe CS5 Web Premium」。その製品構成と、「CS5」における機能の進化を2回に渡り徹底紹介したい。

ついに発売された「Adobe CS5 Web Premium」だが、筆者の周りでは、まだ「CS3」を現役で使っており、「CS4」には乗り換えていないというWebデザイナーも多い。「CS5」は、今までと何が違うだろのうか? 「CS5」シリーズの中でもWebデザイナー向け製品である「Web Premium」に含まれるアプリケーションについての全体像と、それぞれの製品の役割について紹介していこう。

CS4には、「Web Standard」と呼ばれるWeb Premiumの下位バージョンが存在していたが、Adobe CS5からはWeb Premiumのみとなった。価格は23万6,250円。Web Premiumに含まれる製品ラインナップは、「Photoshop CS5 Extended」、「Illustrator CS5」、「Acrobat 9 Pro」、「Flash Catalyst CS5」、「Flash Professional CS5」、「Adobe Flash Builder 4 Standard」、「Dreamweaver CS5」、「Fireworks CS5」、「Contribute CS5」の9製品で、その他に「Bridge CS5」、「Device Central CS5」、「Adobe CS Live オンラインサービス」といった単体販売はしていない製品が付属する。なお、Acrobat 9 ProはCS4と同一のバージョンである。

新しく加わった製品としては、Adobe Flash Builder 4 Standard、Flash Catalyst CS5が存在する。Adobe Flash Builder 4 Standardは、FlexフレームワークというAdobeがオープンソースで提供しているFlashコンテンツ開発環境を効率よく扱うための主に開発者向けのアプリケーションだ。ちなみに、この製品は、以前はFlex Builderと呼ばれていたものである。

今回のCS5 Web Premiumの目玉のひとつとして、これらFlash制作周りの環境の充実があり、Flash Catalyst CS5、Flash Professional CS5、Adobe Flash Builder 4 Standard / Professionalに、Device Central CS5を加えてFlash Platformというプラットフォーム構成となっている。これらツールは、Flash PlayerやAdobe AIRといったAdobeが提供するリッチコンテンツ再生環境用に企画から実装、運用までのワークフローすべてをサポートするという構想を実現するために存在している。ちなみにDevice Central CS5というのは、携帯電話などのモバイルデバイスにおけるコンテンツ表示をエミュレーションするアプリケーションである。

Flash Platformのサイトでは、Flash周りに関する活用事例などが提供されている。

Adobe CS5 Web Premiumに含まれる謎の新製品として噂されていたFlash Catalyst CS5は、インタラクティブコンテンツ向けのプロトタイピングツールで、従来であればActionScriptなどでコーディングを行なわなければ確認が出来なかったFlashコンテンツの挙動を素早く作成することが出来るというもの。また、「ラウンドトリップ編集」という機能を使用することで、PhotoshopやIllustrator、Fireworksと連携して、各パーツのデザインを行なえたり、Flash Builderと連携してデータベースと接続したりすることができる。

Flash Catalyst CS5ではワイヤーフレーム作成のためのパーツも用意されている。これらのパーツは実際に動作させることが出来る

そんな華々しい新規機能の中でも気になるのがFlash Professional CS5によるiPhone向けアプリケーション書き出し機能である「Packager for iPhone」だ。ただし、この機能は、現時点で今後のサポートに関して未定となってしまっている。

レビュー後編では、「オペレーション」、「ワークフロー」、「ファイルフォーマット」という3つのキーワードからAdobe CS5 Web Premiumを評価してみたい。

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