富士通研究所は6月17日、「分散キーバリューストア」(以下、分散KVS)による高速な集計やデータ更新操作の一貫性維持を実現する基盤技術を開発したと発表した。
分散KVSは「Key(キー)」と「Value(値)」という単純なデータ構造により、複数のサーバによる分散処理に適したデータベース技術とされている。サーバ台数の変更にも適応が容易であることなどから主にクラウドサービスで利用されているものの、大量集計処理の遅さやデータ更新操作の一貫性維持が難しいといった課題があり、用途が限定されていた。
同社は従来の分散KVSに対して、データを「集合」として一括して高速に処理する技術を開発。処理の高速化や通信の最適化を図ることで、集合演算の高速実行を可能にした。
また同社は、複数データの更新の一貫性を維持する技術も開発。これは、サーバが更新処理を受け付けた時点で、データごとにタイムスタンプ情報を付加して処理担当のサーバにデータを転送。各サーバはこのタイムスタンプに基づく命令の履歴を保持し、他のサーバの更新処理による影響が判明した時点で履歴をもとに命令を再実行するというもの。この仕組みにより、複数のサーバにまたがる更新処理を効率的に実行しながら一貫性の維持を実現する。
同社によると、100万件のデータ集合を対象とした結合処理を48台のサーバで実行した結果、従来の技術と比べて8分の1の時間で処理が完了したという。また、更新処理の一貫性維持については、同台数のサーバ環境において従来比約7倍の処理能力を得たとしている。
同社は同技術の今後について、「より多数のサーバを使った検証を進め、性能を向上させていく予定」としている。