National Semiconductor(NS)は、ドライバー・アシスト・ビデオ・カメラ向けリアルタイム双方向制御チャネルを特長とする、車載グレードのFPD-Link IIIシリアライザ/デシリアライザ(SerDes)ファミリチップセットとして「DS90UB901Q」シリアライザと「DS90UB902Q」デシリアライザを発表した。

「DS90UB901Q」シリアライザと「DS90UB902Q」デシリアライザ

これらのチップセットは、1対の差動ワイヤ・ペア上で継続的にクロック、データ、リアルタイムI2C双方向制御信号を提供することで、運転の安全性と応答時間の向上を実現することが可能。色深度が14ビットの車載カメラ・システムに最適で、周期冗長検査(CRC)によってデータの整合性の検証とモニタを行うとともに、カメラモジュールのための制御ワイヤの追加を不要にしている。

また、ブランキング時間または小さなビデオ・フレーム間ギャップを使って制御データを送る技術と異なり、独自のバックチャネル技術を採用、これにより複数のリモートカメラヘッドとECU間の継続的なリアルタイム通信を実現している。そのため、複数のサイドビュー・カメラとリアビュー・カメラの同期に必要な制御を即座に実行し、画像を合成処理した「バードビュー(鳥瞰図)」の提供を可能にし、死角の解消、車線逸脱や衝突の回避、駐車の際のトラブル防止などのドライバー・アシスト機能を実現する。

すでに出荷が開始されており、1,000個一括購入時の価格はそれぞれ5.61ドルとなっている。

また、併せてFPD-Link IIIファミリ製品として、車載インフォテインメント・システムに必要な18ビットの色深度をサポートする「DS90UB903Q」シリアライザと「DS90UB904Q」デシリアライザも発表した。このチップセットは、グラフィック・ホスト・プロセッサとセントラル・インフォメーション・ディスプレイ、リアシート・エンタテインメント・ディスプレイ、ナビゲーション・ディスプレイを接続。内蔵リアルタイム制御チャネルにより、タッチスクリーン・ディスプレイの高速応答を可能にするとともに、外付け制御ケーブルとコネクタを不要とする。

こちらのチップセットもすでに出荷を開始しおり、1,000個一括購入時の価格はそれぞれ5.83ドルとなっている。

なお、2種類のチップセットはいずれも10mを超えるビデオ・コンテンツのシリアル・ルーティングを行い、10MHzから43MHzのピクセル・クロック範囲とSVGA仕様までのディスプレイ解像度をサポート。-40℃から+105℃の動作温度範囲に対して適用されるAEC-Q100グレード2の規格要件を満たしており、1.8Vの単一電源で動作するほか、工場テスト、システム・スタートアップ、診断機能のための内蔵自己テスト(BIST)モードも備えている。