帝国データバンクは6月16日、2007年度から2009年度に負債5,000万円未満で倒産した企業について、件数・主因・業種について分析した結果を発表した。これによると、全体の倒産件数は減少傾向にある一方、零細企業の倒産は高い水準で推移しているという。

件数では、2009年度の全体の倒産件数は前年度比2.8%減の1万2,866件と減少しているのに対し、零細企業の倒産件数は5,739 件(前年度比6.7%増、構成比44.6%)と増加している。

また月別では、全体の倒産件数は2009年9月以降から前年同月比で毎月減少が続いているのに対し、零細倒産では高水準で推移している。2010年度も全体件数の減少に比べて零細倒産の減少の度合いは低く、零細企業の経営環境の回復の鈍さがうかがえるとしている。

構成比では、2009年後半から45%前後で推移しており、直近の2010年5月は零細倒産が50.7%と、集計基準変更後で過去最高となった。

2007年度~2009年度の倒産件数 資料:帝国データバンク

主因別では、販売不振や業界不振などを含めた「不況型」が4,538件でトップとなり、これに「放漫経営」、「過小資本」、「経営者の病気、死亡」が続く。同社では、世界不況に伴う受注の低迷や競合の激化によって、脆弱な経営基盤しか持たない零細企業が支え切れずに倒産へ至るケースが多いと指摘している。

業種別では、「建設業」が1,363件(構成比23.7%)とトップで、これに「サービス業」(1,290 件、同22.5%)、「小売業」(1,258件、同21.9%)が続く。また、「不動産業」は全体では減少しているが、零細企業では前年度比42.5%の増加となった。なかでも、不動産仲介業者の倒産が目立っており、不況による競争激化に伴う仲介手数料低下の影響などが件数を押し上げていると見られるという。

2007年度~2009年度の業種別の零細企業倒産件数 資料:帝国データバンク

同社は、中小企業金融円滑化法などの公的支援策は大型倒産の抑制には貢献しているが、その恩恵は零細企業にまで行き渡っておらず、零細企業に対する早急な支援策が求められると指摘している。また、6月18日の改正貸金業法の完全施行の影響により、借入を運転資金に当てている個人事業主などの倒産が増加する可能性が懸念されている。