IDC Japanは6月14日、国内ハイパフォーマンスコンピューティング(以下、HPC)市場について、2009年の実績と2010年~2014年の予測を発表した。これによると、2009年の同市場規模は前年比6.9%増の410億9,000万円だった。
2014年の市場規模は354億7,200万円、2009年~2014年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)はマイナス3.0%と、同社では見ている。
同社では、HPCシステムを価格帯によって分類している。具体的には、5,000万円以上のシステムがテクニカルスーパーコンピュータ、2,500万円~5,000万円未満がテクニカルディビジョナルコンピュータ、1,000万円~2,500万円未満がテクニカルデパートメンタルコンピュータ、1,000万円未満がテクニカルワークグループコンピュータとなる。
2009年の国内HPC市場は、テクニカルスーパーコンピューターの分野のみが成長し、他のカテゴリーはすべてマイナス成長だった。その要因として、前年に引き続いて官公庁の研究機関、大学などの「学術系HPC」でテクニカルスーパーコンピュータの案件が多数あったことが挙げられている。一方、民間企業の「産業系HPC」市場は景気後退の影響を受け大きく落ち込んだ。
同社では、学術系HPCの出荷金額が2009年のHPC市場規模の75%程度を占めていると見ている。また、2009年は海洋研究開発機構に出荷された地球シミュレータの超大型案件が成長の原動力になったという。2010年のHPC市場は、この反動によって前年比でマイナス成長になると予測されている。
製品分野別では、x86サーバによるクラスタシステムが市場を牽引するとして、国内HPC市場の2009年~2014年のCAGRはマイナス成長ながらx86サーバの同期間のCAGRは4.6%と予測されている。一方、RISCサーバやスーパーコンピュータは、一部のアプリケーションの利用に限定されるという。