顧客と直接対話することでニーズにこたえる製品を提供

Dell アジアパシフィックジャパンSMBプレジデント コーポレートバイスプレジデント アミット・ミダ氏

Dell アジアパシフィックジャパンSMBプレジデント兼コーポレートバイスプレジデントのアミット・ミダ氏は、中国および南アジアのプレジデントも兼任しており、アジアのSMBビジネスに加えて、中国やインドのビジネスにも明るい。

同氏はまずアジアのSMBビジネスが好調であることを強調した。「アジアのSMBビジネスは急速に成長しており、アジアの中でも収益性が高い。例えば、中国は今年の会計年度で50億ドルの売上が見込まれており、第4四半期は前年同期比80%と大幅なプラス成長となった」

この高成長のSMBビジネスを支えるモデルは非常にシンプルだという。「われわれは顧客と直接対話を行うことで、顧客を理解しニーズをつかんでいる。そのニーズをこたえる製品を提供することで、顧客に喜んでもらっている」

顧客のニーズへの対応は、製品の価格という形でも表れている。例えば、10Gbps対応の20ポートを備えたネットワークスイッチやIP-SANシステムにおいて、導入の敷居を下げるべく、競合製品の3分の1という破格の価格が実現されている。「顧客のニーズにこたえるためとはいえ、思い切った価格付けができるのはデルだから」と同氏。

同社はSMB市場に向け、価格に加えて導入の手間を省くための策も打っている。ストレージ「Dellイコールロジックシリーズ」を提供する際は、工場でコンポーネントを適切に組み合わせてから出荷している。これにより、業界標準のアーキテクチャと適切な機能が提供されるとともに、手間とコストを低減することが可能になる。

意思決定のスピードが異なる中国とインド

現在、成長が著しい新興国として、中国とインドが取り上げられることが多い。同氏に中国とインドのビジネスについて聞いてみた。

同氏は、中国で同社の製品が受け入れられている理由として、「製品がグローバルスタンダードに基づいている点」と「80%以上の製品がどこでも同じ品質で入手できる点」を挙げた。加えて、中国では品質が重要視されており、品質が高いものには相当のコストを払うという傾向があるそうだ。

また中国と同様、インドも急成長を遂げている。タイのチェンマイにある工場を利用することで、オーダーから1日から2日で出荷できるそうだ。

ビジネスという点から見て、中国とインドに違いはあるのだろうか? 同氏は最大の違いとして、「インドは意思決定のスピードが遅いが、中国は速い。中国よりもインドのほうがコストにうるさい」と話した。

なお、インドは中国よりも10年遅れており、中国市場はインドの5倍に当たるそうだ。やはり、人口が多い分、中国のほうがビジネスの規模も大きいようだ。

日本での成功がテクノロジーの成功の指標となる

デル 北アジア地域 SMBセールス本部 統括本部長 ケビン・オケイン氏

中国市場とインド市場の高成長ぶりを聞いたところで、気になるのが日本市場だ。日本のビジネスについては、デル 北アジア地域 SMBセールス本部 統括本部長のケビン・オケイン氏が説明した。

「中国やインドに比べて成長率は低いが重要性は高い」と同氏。その理由は、日本ではベストプラクティスが生まれるためテクノロジーの成功の指標となる地域であるとともに、市場が大きいからだという。「成長が停滞気味といえど、日本の市場は大きい。それはビジネスチャンスが大きいことでもある」

したがって、同社にとって日本で成功することは大切であり、投資も継続するという。

デルは「顧客と対話すること」を重視していると先述したが、同氏もさまざまな日本の中堅・中小企業の下に足を運んでいる。その際に聞いた顧客の課題として、「デバイスの増加による管理の煩雑化」や「ストレージのセキュリティと管理」があるが、「顧客の立場に立って解決していきたい」と、同氏は話す。

国内ではSMB向けキャンペーンが大成功

最後に、今後の展開について聞いたところ、システム管理製品とアプライアンス製品のリリースが数ヵ月後に計画されていることがわかった。

「5月にシステム管理アプライアンスを提供するKACEの買収を発表したが、同社のノウハウを活用してシステム管理製品のラインアップを拡張する。3ヵ月後にITインフラのコスト削減に貢献する製品をリリースする予定だ」(アミット氏)

また、UTM製品のリリースも予定されており、日本では2~3ヵ月後に発表できるだろうという。

同社は企業買収に意欲的で、KACEのほかにも、今年中に8社から10社の買収を見込んでいる。「買収企業のノウハウを取り入れて成長していきたい」とアミット氏。

一方オケイン氏は、昨年SMB向けに実施したキャンペーン「信じる道をいこう」が成功し、SMBビジネスが広がったと話した。

「キャンペーンではSMBの顧客の成功例を紹介したのだが、それを聞いた別な顧客が『自社のことも話したい』と積極的に参加してくれるなど、輪が広がっていった。また、1人でスタートした企業が当社の製品を使いながら成長していったという話も聞いており、顧客のお手伝いができて非常にうれしい」(オケイン氏)