米連邦取引委員会(FTC)が、モバイル広告市場における米Appleの商習慣について調査の準備を進めていることがわかった。米Bloombergなど複数のメディアが6月10日(現地時間)に報じている。同社は新プラットフォーム「iOS 4」でGoogleなど競合他社を狙い打ちした参入排除の方針を打ち出しているとされ、こうした行為が競争原理を阻害する反トラスト法違反に抵触するのではないかというのがその理由だ。

Appleの新サービス「iAd」は、6月24日より世界での発売が開始される「iPhone 4」の目玉サービスだが、そのデバイス上で動作するiOS 4での開発者向け利用規約には「携帯電話プラットフォームにおけるOS、開発環境、デバイス製造メーカーおよびその子会社による広告ネットワーク構築」を禁ずる旨の記述が行われている。これはGoogle、Microsoft、Adobeなど、他の多数の企業をiPhoneやiPadの広告市場から排除する可能性が指摘されており、実際にGoogle傘下のAdMobはこの新規約でAppleを激しく非難している。

Apple CEOのSteve Jobs氏は、6月7日に開催された開発者カンファレンス「WWDC」の席で、2010年下半期のiAdの売上が6000万ドルに達すると報告しており、これは同時期の米国でのモバイル広告市場の約半分にあたるという。つまり、それだけの規模の市場をAppleが囲い込む可能性があるということだ。

Bloombergが関係者の話として伝えるところによれば、FTCは米司法省とともにすでにどの部署が調査を担当するかの議論に入っているという。この議論は今週初めにiOSの規約が更新された時点ですでにスタートしていたようだ。まだ小規模なモバイル広告市場だが、今後iPhoneとAndroidを中心に市場の拡大が見込まれており、将来の有望市場に向けた綱引きがすでにスタートしている。