Mentor Graphicsは、28nm以降のプロセスノードで製造されるICに必要な抽出精度を実現可能な決定論的フィールド・ソルバとルールベースにおける従来の量産設計用抽出ツールの処理性能を併せ持つ寄生RC抽出ツール「Calibre xACT 3D」を発表した。
微細プロセスにおいて、半導体設計が性能仕様の目標に達するようにするには、誤差3%未満の抽出精度が要求されることとなるが、この精度を実現しながら、テープアウト・スケジュールに間に合わせて達成される必要がある。
同ツールは、誤差3%未満のフィールド・ソルバ抽出ソリューションを、低速なTATペナルティなしに実現することで、抽出精度と性能のジレンマを解消することが可能だ。高度なアルゴリズムを用いた決定論的フィールド・ソルバを備え、従来のフィールド・ソルバから最大1桁上の速度で寄生効果を計算することができる。また、リニアなスケールアップが可能で、複数のCPUを追加することで、従来は精度の劣るルールベースの手法でしか得られなかった高速なTATを達成できることとなる。
先端プロセスの各種効果やプロセスのバラつきを高精度かつ効率的にモデル化、フルチップまたは選択したブロックおよびネットに対して、フラットまたは階層構造での処理を行うほか、モンテカルロ・ベースの他のフィールド・ソルバとは異なり、エンジンは決定論的テクニックにより、トータルおよびカップリング・キャパシタンスに対して一貫した結果を生成し、モンテカルロ・アプローチで問題となりうる統計的特異値の問題が生じない。
さらに、総合抽出ソリューションであるため、デバイスの分解、ジオメトリのプリプロセス、寄生モデリング、削減およびネットリスト作成などの各ステップを実行し、既存の検証およびシミュレーション・フローと互換性があるほか、「Calibre nmLVS」との連携が可能で、キャパシタンスの3Dフィールド・ソルバに加えて、レジスタンスおよびオプションとしてインダクタンス・モデリングのエンジンも提供される。
加えて、必要に応じてCalibre xACT 3DとCalibre xRCを組み合わせて使用し、両方のツールの実行結果をCalibre結果データベースにロードすることも可能。Calibre LFDおよびCalibre CMPAnalyzerといったCalibre DFM製品群とも統合されているため、バラつき解析向けに製造プロセスで発生するひずみを考慮するためのデータも提供することができ、モデリングの精度を高めることもできる。