古河電気工業(古河電工)は、2010年5月よりノートパソコンやカーナビゲーションシステム、デジタルビデオカメラなどのモバイル型機器に搭載されるHDD用ガラス基板の生産を開始したことを発表した。

生産を開始したガラス基板とHDDへの搭載例

同ガラス基板の生産を開始したことにより同社は、デスクトップ向けHDDに採用されるアルミ基板用素材(アルミブランク材)と両方の素材を扱う世界で唯一のメーカーとなる。

今回開発・実用化されたガラス基板は、同社の光ファイバ製造技術を応用して開発された高精度ガラス材製造工法を活用。同ガラス材はHDD用ガラス基板だけでなく、LCDパネルの保護パネル(カバーガラス)や有機EL用ガラス基板の用途にも適していると想定されるという。

また、同ガラス基板は、従来必須とされていた"化学強化"工程がなくても十分な強度が得られることが特長なほか、現在市場で採用されているガラス素材に較べて高転移点(高い耐熱性)であるため、HDDの次世代技術である"パターンドメディア"や"熱アシスト記録方式"にも展開可能だという。

なお、同ガラス基板は当面の間、同社千葉工場で月産100万枚体制で製造を行い、同時に顧客評価を踏まえて今後の詳細展開を決定していく計画で、3年後には、顧客生産地近くでHDD用ガラス基板および基板用中間製品で月産2,000万枚の生産を目指すとしている。