欧州委員会(EC)と欧州19カ国は6月8日(現地時間)、スペイン・バルセロナにて「Partnership for Advanced Computing in Europe(PRACE)」の立ち上げを発表した。世界でもハイレベルな高性能コンピューティング(HPC)のグリッドを構築し、科学と産業の両方で競争力強化につなげる狙いだ。
PRACEは、パーシスタントな汎欧州のHPC研究インフラおよび関連サービスプロジェクト。"Tier-"として6台のHPCシステムで構成されるHPCサービスを、欧州の研究者に提供する。米国や日本と同レベル、またはそれ以上のHPCサービスインフラの構築を目指す。
システムは今後5年でぺタフロップス(毎秒1000兆回の浮動小数点演算)レベルを、2019年にはその1000倍となるエクサフロップスレベルの実現を目標とする。PRACEセンターは、国/地区レベルのセンター("Tier-1")、ローカルセンター("Tier-2")で補完される。
PRACEには、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの4カ国がそれぞれ1億ユーロを提供し、ECが最大7000万ユーロを提供する。参加する19カ国は欧州連合加盟国が中心だが、トルコ、ノルウェーなどの近隣国も参加する。
すでにドイツでは、Forschungszentrum Juelich(ユーリヒ総合研究機構)に「IBM Blue Gene/P」を利用した1ぺタフロップスのスーパーコンピュータがインストールされている。このシステムは、5月に発表された最新のスパコンランキングTop500で第5位にランクされている。