ひと頃の「仮想化技術とは何か?」という時期を過ぎて、現在は実運用を前提とした仮想化技術の導入が様々な企業で進んでいる。しかし、ハードウェアの集約は実現できたとしても、OSを含めた"環境"自体が集約されるわけではなく、むしろ物理的な制約から解放された分、「管理対象」となる環境は増加傾向にあるのではないだろうか。
小誌では、マイクロソフトの運用管理ツール「Microsoft System Center」(以下、System Center)のプリセールスを担当する福原毅氏とマーケティングを担当する長谷川裕昭氏に、企業におけるIT運用の実態と課題、解決方法について話を伺う機会を得た。
人は減っても減らないIT部門の仕事
システムに障害は付き物であるが、その復旧に時間がかかりすぎるケースが少なからずある。その原因は、「システムの構成がわからない」「誰が構成したのかがわからない」「以前の問題がぜんぜん解決されてない」……など様々だが、これらは長きに渡ってIT部門が抱える課題とされてきた。
最近では、これに加えて「コンプライアンス」「消費電力の削減」といった法規制や環境対応といった役割までもがIT部門に求められるようになってきている。 最近になってようやく企業業績が回復の兆しを見せてきているが、この数年の間、多くの企業が「コスト削減」の大号令のもと人員の整理や経費の削減を実施してきた。
福原氏によると、企業が「コスト削減」に関してITに要求してきたものは、大きく分けて2つあるという。それは、仮想化によるサーバやストレージなどのハードウェアの集約と、業務アプリケーションの「サービス化」である。
仮想化がIT部門にもたらしたもの
実際の「仮想化」は、「台数が増えたタワー型サーバの環境を仮想化してブレードサーバなどの物理サーバに格納する」といったケースが多いわけだが、物理サーバの数が増えると、「ヒマなマシン」を探し出すのにもひと苦労となる。また、「どのマシンに光学ドライブが搭載されているのか」といったハードウェア環境の把握も容易ではなくなる。
2~3台の物理サーバしか存在しないのであれば手作業による運用でも「何とか回せる」かもしれないが、管理対象の物理サーバが十数台以上になると、手作業による効率化には自ずと限界が見えてくる。こうなると、「サーバを1台用意してほしい」というユーザー部門からの要求に対し、実際に物理サーバのリソースを割り当てて環境を作成するまでに過大な時間と労力が必要とされ、本来のIT部門の業務まで手が回らないといった事態を引き起こしかねない。