EMCジャパンは6月10日、同社のミッドレンジ・ストレージ製品「EMC CLARiX」および「EMC Celerra」の保存を効率化することを目的とした3つの新機能、ならびにストレージファイル/ブロックを共通で管理する管理ソフトウェア「EMC Unisphere」を発表した。
ミッドレンジ分野に対する新機能と新たな管理ソフトを提供することについて、EMCジャパン代表取締役社長の諸星俊男氏は、「プライベートクラウドを進めていくためには、ミッドレンジを拡充する必要がある」と指摘。その背景として、ミッドレンジのストレージ容量がローエンドやハイエンドに比べて近年高いものの、7割弱のユーザが容量利用率50%未満、かつ「よく使うデータも使われないデータも一緒にストレージに格納されてしまっており、効率的に使用されていない。ストレージに格納されているデータのおおむね30%以上が未使用データだというデータもある」という問題があり、そうした低い容量利用率とアクセス頻度に関係なく一律に保存する利用形態に対し、容量伸び率の高いミッドレンジストレージの効率化が重要であるとした。
3つの機能は「サブLUNの自動仕分機能(次世代バージョンのFAST)」「FAST Cache」「ブロック・データ圧縮機能」となっている。
サブLUNの自動仕分機能(次世代バージョンのFAST)とは、従来、同社が提供してきた「自動階層化機能(FAST:Fully Automated Storage Tiering)」ではLUN(Logical Unit Number)単位でデータを分けていたが、新たに「データを1GB単位のスライスし、それをLUNに収納していく方式へと変更した。これにより、これまでアプリケーションの設計変更やデータ移行の時間などが生じていたものを減らし、ユーザは何も意識することなく自動仕分けが可能となる」(EMCジャパン プロダクト・ソリューションズ統括部 シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャの雨堤政昭氏)。
また、FAST Cacheは、これまでストレージとして活用していたSSDをDRAMの代替としてキャッシュに活用するもの。SSDはキャッシュとして選択すると、ストレージとしては活用できなくなるが、その代わり、「最大2TBまでキャッシュとして拡張が可能なほか、64KB単位での読み書きに対応したことで、例えばSQL Serverの処理性能が向上するのはもちろん、VMwareによる仮想デスクトップ環境においても、150台分のVMware Viewの起動時間を半減させるほか、応答時間を1/4に低減することが可能となっている」(同)。
そしてブロック・データ圧縮機能は、ストレージ側(バックグランド)でデータの圧縮を行うもので、ユーザー側は何も意識することなく、データ容量の削減が可能となる。「例えばOffice系のファイルであれば、最大50%の容量削減も可能になる」(同)としており、これらの3つの機能を活用すると、130TBの物理容量を持った同社システムのTCOは3年間で約30%削減することが可能となるという。
一方のEMC Unisphereであるが、こちらは従来のブロック(SAN)を管理するCLARiX、ファイル(NAS)を管理するCelerraと分かれていたものを、「ユニファイド化を目指し、ブロックであろうとファイルであろうと共通管理が可能なインタフェース」(同)であり、今後はプラグインとして、バックアップソリューションなども統合を図っていく予定もあるとした。
EMC Unisphereは複数のシステムの状況を一目で把握することが可能となることを目的としたインタフェースを採用しており、例えばそれぞれのストレージ空き容量や、アラートなどがすぐに分かる構成となっており、そのアラートなどについても、クリックするだけで、故障ドライブの場所の特定や、交換作業のための手順が表示されるなどの工夫が施されている。
また、VMwareサーバ管理者による仮想環境での運用簡素化も意識した作りとなっており、VMware vCenterからのストレージ割り当てや仮想マシンの複製作成が可能なほか、VMwareが新たにサポートするvStorage APIs for Array Integration(VAAI)に対応したことにより、従来サーバ側で行っていた処理をストレージ側にオフロードすることが可能となり、これによりVNware環境でのパフォーマンス向上が可能になっている。
なお、これらの機能を搭載したCLARiXおよびCelerraは、同社およびパートナー各社より2010年7月より提供される予定で、既存のカスタマについても順次対応を図っていくとしている。