NEC 執行役員常務 福井雅輝氏

日本電気(以下、NEC)は6月9日、NECグループ全体で推進する中長期の環境計画「NECグループ環境経営行動計画2017/2030」を発表した。

同計画では、以下の4分野に関する目標が設定されている。

  1. 低炭素: 社会全体のCO2削減にITソリューションで貢献
  2. 低炭素: 製品のエネルギー効率の改善
  3. 生態系/生物多様性保全に向けた活動の強化
  4. 資源循環、省資源の推進

1に関しては、2017年度までに1500万トン、2030年度までに5000万トンというCO2削減効果の目標数値を掲げている。1500万トン、5000万トンという数値については、昨年度NECグループがITソリューションにより削減した実績値を基に算出されている。同社では昨年度190万トンのCO2削減効果を達成。この数値は「年間4~5%のペースで拡大できる」(NEC 執行役員常務 福井雅輝氏)と見込んでおり、その総和をとるかたちで上記目標値が設定された。

ITソリューションによるCO2排出量削減目標

また、2に関しては、2030年度までに「全製品加重平均で90%の改善を実現、全製品群個々について80%の改善を実現(2005年度製品比)」、2017年度までに「全製品加重平均で80%の改善を実現、全製品群個々について70%の改善を実現(2005年度製品比)」という目標を設定。各製品のエネルギー効率を高める取り組みに注力していくという。

製品エネルギー効率の改善に関する削減目標

3に関しては、数値目標は設定していないものの、同社の「NECグループ生物多様性行動指針」を推進するための施策を具体的に定義。地球観測衛星による観測技術、無線センサー端末による自然生態系モニタリングなどで生態系/生物多様性保全へ貢献することを明記したほか、「植林」、「NEC田んぼづくりプロジェクト」、「MDD運動(Make-a-Difference Drive運動 : NECグループ社員が参加するボランティア活動)」などの取り組みも強化していくという。

生態系・生物多様性保全に向けた活動の強化

そして、4に関しては、2017年度までに、屋外設置製品などのバイオプラスチックが適さない製品を除く全ての主要製品でバイオプラスチックを適用することを宣言。同社が開発した燃えにくいバイオプラスチック「Nucycle」などを積極的に使用していく。

資源循環、省資源に関する目標

なお、CO2排出/削減量の管理にあたっては、「炭素統計」と呼ばれる同社独自の集計/算出方法を適用している。炭素統計の値は、NECのWebサイトや説明会を通じて公表される予定だ。

炭素統計の概要

炭素統計のイメージ

また、説明会では、NECグループが2003年に設定した「NEC環境経営ビジョン2010」の進捗状況も発表。NEC環境経営ビジョン2010では、「2010年度にCO2排出"実質ゼロ"」という命題の下、NECのITソリューションにより削減したCO2量が、自社の生産活動および顧客のNEC製品の使用により排出されるCO2量を上回ることを目指していたが、NECグループではこの目標を1年前倒すかたちで昨年度に達成したという。