シトリックス・システムズ・ジャパン(以下、シトリックス)は6月8日、サービスプロバイダやデータセンター向けアプライアンス製品「Citrix NetScaler」の最上位モデルや、クラウドコンピューティング環境への対応を強化したOS最新版、新仮想アプライアンス、新ライセンスを発表した。
今回発表された主な新製品は、アプリケーション デリバリー コントローラと呼ばれるハードウェアアプライアンス製品の「Citrix NetScaler」最上位モデルとなる「Citrix NetScaler MPX 17500/19500/21500」と、マルチコアCPU対応強化や64ビットキャッシュ対応などが図られたOSの最新版「NetScaler 9.2」。これらはすでに提供が開始されている。
「MPX 21500」の最大のポイントは「2Uサイズで最大50Gbpsのスループットを実現している」(同社 的場氏)など、通常はシャーシ型が一般的とされるハイエンドアプリケーションスイッチ製品において、コンパクトながら「業界トップクラス」(的場氏)の性能を実現している点にある。また、これらの3機種には"箱"(ハードウェア)を買い換えずに必要に応じてライセンスを追加購入するだけで性能をアップグレードできる同社の「Pay-as-You-Grow」モデルが採用されており、同一筐体で35Gbpsから50Gbpsまでの最大スループットに対応する。
「MPX 17500/19500/21500」の主な仕様は以下の通り(価格は要問い合わせ)。
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Citrix NetScaler MPX 17500
サイズ:2U/CPUコア数:12(2×6コア)/メモリ:48GB/ポート構成:8×10GE SFP+/システムスループット:20Gbps/HTTP圧縮スループット:7Gbps/SSLスループット:8Gbps/同時TCP接続数:33000000/電源装置:2台(冗長構成)
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Citrix NetScaler MPX 19500
サイズ:2U/CPUコア数:12(2×6コア)/メモリ:48GB/ポート構成:8×10GE SFP+/システムスループット:35Gbps/HTTP圧縮スループット:9Gbps/SSLスループット:10Gbps/同時TCP接続数:42000000/電源装置:2台(冗長構成)
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Citrix NetScaler MPX 21500
サイズ:2U/CPUコア数:12(2×6コア)/メモリ:48GB/ポート構成:8×10GE SFP+/システムスループット:50Gbps/HTTP圧縮スループット:11Gbps/SSLスループット:11.5Gbps/同時TCP接続数:52000000/電源装置:2台(冗長構成)
また、仮想アプライアンス「Citrix NetScaler VPX」は性能向上が図られ、最上位版として従来の3倍のスループット(3Gbps)を実現する「Citrix NetScaler VPX-3000」が用意される。こちらは2010年後半から提供開始される予定だが、Citrix XenServerやVMWare vSphere(ESX)に加え、新たにMicrosoft Hyper-Vにも対応する予定だ。この仮想アプライアンスも、上述の「Pay-as-You-Grow」によるアップグレードが可能。
ライセンス形態については、新たに「Bust Packライセンス」を用意。これは、90日間限定で上位モデルの性能を安価に利用できるようにするもので(通常のハードウェア/ソフトウェアライセンスの1/3程度の料金)、「例えばイベントやギフトシーズンなど、通常のキャパシティを超える際に、一時的に利用するといったことが可能」になるため、同社は予算に制約がある場合などに有効だとしている(こちらも2010年後半に提供開始予定)。
なお今回の発表会では、同社米国本社 スニール・プティ氏が同社の今後のクラウド戦略について説明を行った。同氏は、最近盛んに叫ばれるようになった「プライベートクラウド」について、同社のこれまでの取り組みを踏まえて学んだこととして「本当の意味でのプライベートクラウドにはビジネスチャンスはない(パートナーとしてのサービスプロバイダの活用は不可欠)」と強調。このような状況を踏まえ、2010年以降はセキュリティを確保しながら従来型のデータセンターと「パブリッククラウド」の"いいとこ取り"を実現するための「Cloud-Extended Data Center」と呼ばれる実践的なアプローチなどを戦略的に展開していく考えを示した。