6月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2009年度5月の全国企業倒産の集計結果が発表された。同月の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では879件/3,044億8,100万円、商工リサーチの発表では1,021件/3,312億7,500万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2009年5月の全国企業倒産の件数は、前月比で8.6%(962件)、前年同月比で16.8%(1,057件)の減少となり、9ヵ月連続で前年同月を下回った。倒産件数が900件を下回るのは、2008年1月の888件以来、2年4ヵ月ぶりだという。
2009年5月の全国企業の負債総額は前月比で19.6%(2,545億800万円)の増加となったが、前年同月比で40.5%(5,115億9,000万円)の大幅減少となり、4ヵ月連続で前年同月を下回った。負債額トップは、総合不動産業のプロパストで負債554億4,700万円。
全国企業倒産件数・負債総額の推移 資料:帝国データバンク |
業種別では、7業種中6業種で前年同月を下回った。特に、建設業(217件、前年同月比15.6%減、40件減)、製造業(135件、同24.6%減、44件減)、サービス業(136件、同29.2%減、56件減)の3業種は、前年同月より40件以上の大幅減少となった。一方、小売業(181件、1.7%増)は8ヵ月ぶりに前年同月を上回った。
倒産減少の要因として、「公共工事前倒しの下支え効果による建設業の倒産減少」、「東北や九州などの地方圏での倒産減少」、「負債額の大きな倒産の減少」が挙げられている。負債5,000万円未満の倒産が50.7%に上っており、中小企業金融円滑化法により融資の返済条件が緩和され一息ついている事情が反映されていると、同社ではコメントしている。
今後は、上記の減少要因が徐々に影響力を弱め、倒産を誘発する新たな材料が台頭し、年後半から次第に倒産が増加に転じる可能性があるという。例えば、2009年12月施行の中小企業金融円滑化法において、リスケ期間は通常6ヵ月が多いとされており、6月以降に返済が再開されれば、倒産の抑制効果は徐々に薄れることも予想される。
商工リサーチの調査結果
2009年5月の倒産件数は、前月比で11.5%(1,154件)、前年同月比で15.1%(1,203件)の減少となり、10ヵ月連続で前年同月比減少となった。単月としては1987年6月(1,021件)と同数で、最近では2005年9月(987件)以来の低水準だった。
都道府県別では、29道府県で前年同月を下回り全国的な減少傾向が続いている。これは、「景気対応緊急保証制度」と「中小企業金融円滑化法」に基づく返済猶予など金融支援の効果が倒産抑制に働いた結果と、同社では見ている。
2009年5月の負債総額は、前月比で22.6%(2,699億9,600万円)増加したが、前年同月比で38.6%(5,398億8,400万円)の減少となり、4ヵ月連続で前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産が同30.1%減の44件(前年同月63件)となり、全体としては、負債1億円未満の小規模企業倒産が約7割を占めた。
全国企業倒産件数・負債総額の5月の年別推移 資料:商工リサーチ |
産業別の倒産件数は、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、8産業で前年同月に対して減少した。
減少率は、金融・保険業28.5%減(7件→5件)、サービス業他22.7%減(255件→197件)、運輸業16.3%減(49件→41件)、建設業14.6%減(320件→273件)、情報通信業10.0%減(40件→36件)、卸売業9.5%減(146件→132件)、不動産業4.4%減の順。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、8地区で前年同月比を下回った。増加したのは中部2.5%増(118件→121件)のみ。