Mentor Graphicsは、FPGAアプリケーション向け合成ツール「Precision Synthesis」の最新バージョンとなる「Precision Synthesis 2010a」を発表した。
同バージョンでは、軍需/航空宇宙および安全性が重視されるアプリケーションをターゲットにしたいくつかの新機能およびフローの改良が実施された。DO-254などの設計保証プロセスにおいては合成後のネットリストに対する詳細な検証が求められることが多いため、同バージョンでは、合成とシミュレーションのミスマッチを回避し、実行されたすべての最適化がフォーマル的に検証可能となる「Assured Synthesis Mode」を提供する。また、要求仕様の追跡管理が必要な設計プロセスに対応するため、検証結果を仕様に対して自動照合を実施するツール「ReqTracer」との統合により、基となる仕様から合成、配置配線まで、要求仕様の追跡管理が可能となった。
また、Quality-of-Results(QoR)の改良が行われており、設計クロージャを達成する上でのボトルネックを克服した。性能の向上は平均12%で、一部のデバイス・ファミリに対しては最大30%が確認されているという。さらに、FPGAのモバイルおよびハンドヘルド・アプリケーション用途に向けた低消費電力のための合成は、クロックルートのスイッチング・アクティビティの削減、消費電力効率の良いメモリ・アクセス、消費電力を考慮したリタイミングなどの最適化を適用することにより、全体的な動的消費電力削減を実現している。
さらに、開発者やIPプロバイダにとっての重要な問題の1つである設計のセキュリティに対し、IEEE P1735ドラフトに基づくベンダに依存しない暗号化フロー「Precise-Encrypt」を提供。これにより暗号化されたHDLをプロジェクト・チーム、開発パートナー、IPベンダとの間で、機密性のあるコンテンツを開示することなく共有することが可能となった。同社の「ModelSim」または「Questa」と組み合わせて使用することで、設計者は同じ暗号化されたHDLをシミュレーションと合成に使用でき、検証フローと実装フローの間の一貫性を保つことができるという。
加えて、同社のFPGAベンダに依存しないIPプラットフォーム「Precise-IP」として、ARM、AeroFlex、CAST、EnSilica、Eureka Technology、Helion、IPextreme、Innovative Logic、OptNgn、Sitalらパートナーからのサードパーティ製コアが追加されている。