米Hewlett-Packard (HP)は5月7日(現地時間)、Web接続機能を持つ同社製「ePrinter」とクラウド技術を使ったWebプリンティングソリューションを発表した。これにより、携帯電話など好きなデバイスから自宅/オフィスなど好きな場所にあるプリンタに対してファイルや文書の印刷が行えるほか、FedEx Kinko'sやホテルなど公共の場所にあるプリンタを指示して印刷をしておき、後でピックアップするといった使い方も可能になる。

同社は去年2009年6月に初となるWeb対応プリンタを発表している。これは従来のプリンタにあるような無線LAN接続機能を内蔵しただけでなく、自らファイアウォールを超えてWeb接続が可能なほか、アプリをプリンタにダウンロードすることで好きに拡張できる点に特徴がある。HPではこの概念を拡張し、クラウドを組み合わせた「HP ePrint Platform」としてサービスとシステムを構築した。

ePrintではたとえば、BlackBerryやPalm Pre、iPadなどの本来であればプリンタドライバを直接もたないモバイルデバイスであっても、電子メール送信機能さえあれば画像ファイルや文書ファイル、プレゼンテーションファイルなどをプリンタに送信して印刷が可能になる。ePrint対応プリンタにはすべてユニークな電子メールアドレスが割り当てており、ここから印刷指示が可能になっている。自宅にあるプリンタはもちろんのこと、オフィスのプリンタも指定できる。あるいは前述のようにFedEx Kinko'sの出張店舗といった公共の場所にあるプリンタを指定することで、現在プリンタが近場にない環境であっても印刷、ピックアップが可能だ。送信方法は電子メール経由のほか、スマートフォンであれば専用のePrintモバイルアプリをインストールすることで、Office文書からPDFまで、さらに細かいファイル種別や制御に対応する。

同サービスはPCとプリンタを1対1で直接つなぐのではなく、いちどクラウドを中に介在させることでファイアウォールを自由に突破し、時間と場所を選ばないフレキシブルな印刷を可能にする点で特徴がある。この点で、以前にGoogleが発表したCloud Printの概念に似ている。デバイス上のファイルだけでなく、Google DocsやPicasaといったクラウド上のデータの印刷にも対応する。またスケジュール印刷も可能で、毎朝早朝にカスタマイズしたニュースコンテンツを専用アプリを使って自宅外の場所で印刷指示を出しておき、それを後ほどピックアップするといった使い方もできる。

こうしたクラウド経由での印刷指示やプリンタの設定などは、同社「HP ePrintCenter」のサイトを通じて行える。ePrintCenterへのサインインには専用アカウント以外にも、OpenIDやGoogle、Yahoo!、Facebookのアカウントがそのまま流用できる。

HP ePrintCenterのWebサイト。今のところ北米およびオランダでサービスが実施されている