日立製作所(以下、日立)は6月7日、同社グループ会社などと連携してコンサルティングから設計、構築、運用までを統合的にサポートする環境配慮型データセンター事業を中国で開始すると発表した。
同社はすでに欧州の現地法人に専門部署を設置し(2008年4月)、IT機器や空調設備などに関する同様のサービスを展開しているが、今年度より中国でも事業を開始し、2011年には米国でも展開する予定。これによって同社は、国内外におけるデータセンター関連の設備やコンサルティング、構築・運用サービスに関する売上規模を、2015年度には330億円に引き上げることを目指す(現在は約50億円規模。サーバやストレージなどのIT機器の売上は含まず)。
今回の発表に際して同社 情報・通信システム社 渡部芳邦氏は中国市場について、同社の試算結果をもとに「延床面積が2013年度までに平均9.2%で増加する」と指摘。これに伴ってデータセンター設備機器の市場も1兆円規模に成長するとし、「大きなビジネスチャンス」と判断したことが中国市場に参入する背景になっていると語った。
具体的には、同社の中国現地法人に事業全体をとりまとめる専門部署を新設。同社グループ会社や現地のパートナー企業との連携により、データセンターの設計・構築から運用までのサービスを統合的に提供する体制を構築する。同事業に参画する同社のグループ企業はとりまとめ役の同社現地法人(北京と上海に拠点を設置。設備、機器の販売を担当)のほか、日立プラントテクノロジー(設備建設、設計施工を担当)、日立建設設計(設計コンサルティングを担当)、日立電子サービス(省電力診断サービスを担当)、日立アプライアンス(空調機器を担当)、日立製作所 情報・通信システム社(ITコンサルティングとITアウトソーシングを担当)の各現地法人。これに現地のパートナー企業が加わる体制となる。
渡部氏は、「グループ各社の特徴を出すことで、"日立ならでは"の相乗効果が得られるサービスを提供したい」という考えを示し、ITと設備の両方の製品・技術を持つ同社の強みを生かした「ワンストップサービス」を展開する。
また同社は、グループ各社の連携による環境配慮型システムの市場投入に際し、すでに先行して実施されていた研究開発作業が同社「横浜第3センタ」にて実証段階に移ったことを明らかにした。