天安門事件から21周年となる6月4日(中国時間)、中国政府が人気の位置情報サービス「Foursquare」の接続遮断に踏み切った。Los Angeles Timesなど複数のメディアが同日に報じている。

Foursquareは位置情報を利用したSNSで、特定のランドマークなどで"チェックイン"と呼ばれる動作を行うことで、相手に自分の位置を知らせるとともに、それに基づいた各種サービスが利用できる仕組みだ。報道によれば、多数のユーザーが6月4日の記念日を前にFoursquareで天安門広場でのチェックインを始めたため、中国政府が同サービス遮断の決定を下したとみられる。

「六四事件」とも呼ばれる天安門事件が発生したのは1989年6月4日。民主化を求め天安門広場に集合した学生や市民らを中国当局が武力弾圧した事件として知られている。中国政府はその後も同事件に対して厳しい報道管制を敷き続けており、中国国内では検索サービスで「天安門事件」に関するキーワードを入力すると自動的に接続が遮断されるという。検索サービスや電子メールが中心だった中国でのインターネット検閲だが、最近では国境を越えて急拡大するSNSにも監視の目が広がっているといわれ、実際に昨年2009年には6月4日前後にTwitterの遮断が行われていることが広く報じられた。

同件を最初に報じたTechblog86によれば、同日にFoursquareで天安門広場でのチェックインを行ったユーザーらは一様に非常にセンシティブなコメントを残しており、SNSを利用したコメント情報の拡散を狙っていたと見られる。FoursquareはTwitterやFacebookなどとの接続が可能で、Foursquareを通じたチェックイン時のコメントはこれらサービス上にそのまま掲載される。今回の出来事は、SNSを舞台とした反政府運動の広がりを警戒した中国政府が、サービス遮断に封じ込めを行ったと見られている。