マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャーの松岡正人氏 |
Microsoftは、Windows Embedded CEの次世代プラットフォーム「Windows Embedded Compact 7」の最終評価版であるコミュニティ テクノロジ プレビュ(CTP)版を公開した。
Compact 7は、これまでCEと呼ばれてきたシリーズを継承するもので、これにより「約2年間ほど行ってきた組み込み向けWindowsのリブランドがほぼ終了する」(日本法人であるマイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャーの松岡正人氏)こととなる。
Compact 7の特長は、「機器メーカーが欲しがっているユーザインタフェース(UI)などのユーザエクスペリエンスを構築するためのコンポーネントが提供される」(同)こと。従来のCEでもSilverlightの対応などは一部行われてきたが、Compact 7では「コンシューマ機器としてのブランドを構築するためには付加価値の高いUIを実現する必要があったが、従来、こうした機能の実装は非常に面倒だった。Compact 7では専用プラットフォームとして提供することで、より容易にそうした付加価値を実現することが可能になる」(同)と説明する。
Compact 7で搭載された主な機能の1つにリッチなコネクテッド エクスペリエンスがある。これにより、従来のCEでは非サポートだったDLNA 1.5をサポートしたほか、HDメディアのストリーミングや、WM-DRMと組み合わせることでDRMコンテンツへのアクセスが可能となる。そのため、「例えば、さまざまな家電などをつなぐハブの役割を持たせた端末のようなものも作れるようになる」(同)と説明する。
また、新機能としてWindows Device Stageを搭載。Windows 7を搭載したPCと接続して機器を開発する際に、シームレスな統合と管理を実現できるほか、Windows MobileなどでサポートしていたUSB/IP対応のMTPドライバを搭載。これにより、メディアプレーヤとPCを接続してデータのやり取りなどが可能となる。
さらに、ブラウザ機能として、Flash 10.1への対応のほか、マルチタッチセンサ機能を搭載。ジェスチャも標準添付のもの以外に、カスタムしたものを搭載することが可能だ。このほか、AjaxとJavascriptの最適化が図られていることに加え、Silverlightによるブラウザのカスタマイズも可能。
このほか、エンタープライズ向けの対応として、これまでWindows Mobileなどが別途必用となっていたOffice製品などへの対応が図られている。これにより、WordやExcel、PowerPoint、PDFといったファイルの閲覧が可能となる。また、Remote Desktop Protocol(RDP)による企業ネットワークへのアクセス、Microsoft Exchange/AirSyncのサポートによる企業ネットワーク経由での電子メール接続の実現などへの対応に加え、PIM情報へのアクセスも可能となっており、電子メールや連絡先、スケジュールの管理なども対応可能となっている。
OSの開発環境はVisual Studio 2008をベースとし、.NETフレームワークとしてサブセットのコンパクトフレームワークを従来同様提供される。また、プラットフォームを評価するためのテストフレームワーク(プラットフォーム テスト フレームワーク)を標準で搭載。これにより、自分達が開発したアプリケーションが、実際の環境において想定したパフォーマンスを出せるかどうかの計測が可能となる。
このほか、ハードウェアの対応として、X86/MIPSに加えARM v7アーキテクチャへの対応が図られている。従来対応していたSHに関しては、「車載端末で非常に強いシェアを有しているので、そちらに資源を集中する選択をした」(同)とのこと。マルチコアプロセッサしてSMPにも対応が図られている。
また、ARMのAdvanced SIMD拡張(NEON)やコプロセッサ拡張(VFP)によるグラフィックパフォーマンス向上も図られているほか、OPEN GL ES2.0によるハードウェアアクセラレーションのサポート、Wi-FiとBluetooth 2.1によるパフォーマンス改善、そして従来GSMのみの対応だったCellCoreの3Gなどへの拡張が行われている。
なお、Windows Embedded Compact 7の製品版は年内に提供される計画で、同時にWindows Automotive 7も提供される計画となっている。