STMicroelectronicsは、同社子会社のPortland Group(PGI)が提供する最適化Fortran/C/C++コンパイラおよび開発ツールをCrayが再販する契約を、Crayと締結したことを発表した。これによりPGIのコンパイラおよび開発ツールが、Crayのデスクサイド・スーパー・コンピュータ「Cray CX1」およびラックマウント・スーパー・コンピュータCray CX1000と共に再販されることになる。
PGIのコンパイラおよびツールは、気象予測、地球物理学の計算、空力シミュレーション、構造解析、自動車の衝突試験、計算機化学および関連分野において、複雑なモデリングおよびシミュレーション向けの高性能コンピューティング(HPC)アプリケーションを作成・実行するために、科学者や技術者に使用されている。これらのコンパイラおよびツールは、AMDおよびIntelの64bitプロセッサの他、LinuxおよびMicrosoft Windows上で動作するNVIDIAのCUDA対応GPUアクセラレータにも対応していいる。
Crayは2004年から、同社のスーパー・コンピュータと共にPGIコンパイラを提供しており、世界中のほぼずべてのCray XTシステムにPGIコンパイラはインストールされている。今回の契約締結により、今後はLinuxまたはWindows HPC Server 2008を使用するIntel Xeonプロセッサ・ベースのCray CX1およびCX1000システムで使用する同様のPGIコンパイラをCrayから直接購入することが可能となる。
また、Cray CX製品ライン向けPGIコンパイラには、NVIDIAのGPU用のPGIアクセラレータ機能の他、PGDBG OpenMP/MPIグラフィカル・デバッガおよびPGPROF OpenMP/MPIグラフィカル並列パフォーマンス・プロファイリング・ツールも含まれている。
PGIコンパイラのパッケージには、Fortran 95/03/C/C++プログラミング言語用として、それぞれPGFORTRAN PGCCおよびPGC++コンパイラが含まれている。PGIコンパイラおよびツールは、Fortran/C/C++でのOpenMP並列プログラミング拡張のネイティブ・サポート、64bitアドレッシングのフル・サポート、ネイティブでのスカラ/ベクトル統合SSEおよびAVXコード生成、指示文ベースの×64+GPUプログラミング、NVIDIAのGPU用のCUDA Fortran拡張、および数学、工学、科学、および財務アプリケーション用に最適化された数値関数ライブラリであるACML 4.4のバンドル版を搭載しているほか、PGDBGデバッガおよびPGPROFパフォーマンス・プロファイラは、MPIおよびOpenMPに対応しており、クラスタ構成に対しても使用することができる。