矢野経済研究所は5月31日、企業における総務や人事などの間接業務をアウトソーシングするサービス関連市場の調査結果「2010 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望」を発表した。
同調査では、2009年度におけるBPOサービス市場は3兆1511億円になるとされており、「アウトソーシングサービスに関する引き合いは増えたものの、導入は進んでいない」と指摘している。その理由について同社は「景気悪化の影響により企業の業務量が減少し社内人員に余剰感が発生したため、BPOの導入よりも社内人員による内製化を優先した企業が多かったため」と分析している。
しかしながら、2010年からは中長期的な視点で構造改革に取り組む企業が増加していることから、BPOの利用も徐々に増えているという。ただし同調査では「該当社員のリストラにつながることを依然として多くの企業が心配している」といった企業における抵抗感の存在によって、市場の急速な成長は望めないとしされている。また、異業種からのBPO市場参入や安価なオフショアBPO事業者の登場によって競争が激化し、「淘汰される事業者が出る可能性もある」という。
とはいえ同社は「経営効率化を進める欧米企業に対抗していくために、国内企業によるBPOの利用が進んでいく可能性が高い」といった分析内容を基に、BPO市場が堅調に成長すると予測。2008年度から2013年度における同市場の年平均成長率(CAGR)は4%となり、2013年度における市場規模は3兆7311億円に達するとしている。