野村総合研究所(NRI)は5月26日、「ユーザ企業のIT活用実態調査(2009年)」の調査結果を発表した。同調査では、2010年度のIT投資について「増やす」と回答した企業の割合が前年度に比べて増加に転じていることなどが判明した。
今回発表された調査結果の主な内容は以下の通り。
・IT投資について
2003年度から2007年度にかけては毎年増加傾向にあった企業のIT投資だが、リーマンショック発生後の2008年度から2009年度にかけて減少傾向に転じている。しかし、2010年度に関してはIT投資が増加に転じており、同社は「回復の兆しが見え始めた」としている。
・IT投資の対象テーマについて
従来は効率化やコスト削減がIT投資の主な目的となっており、ビジネス価値を高めるためのIT投資も年々低下。一方で、「経営管理機能強化支援」だけが高い水準となっている。
・「IT企画人材」について
ITの活用を推進する役割を担うのが「IT企画人材」。この人材については「自社で拡充が必要と考える企業の割合は引き続き高くなっている」とされており、一方でシステムの構築や運用を担当する「システム提供側の人材」に関しては、自社で抱える意向が弱まっている。さらに、重視する項目として「コスト競争力」の割合が高まっていることも特徴となっている。また、ITの適正運営について「IT部門の自己評価だけではなく、他部門による第三者評価を求める企業の割合も長期的に増加傾向にある」とされている。
・ITにおける喫緊の実現課題は何か
この項目については、「徹底したコスト削減」と回答した企業の割合が最も高くなっている。
同社はこのような調査結果を踏まえ、同社は2009年度の企業におけるIT運営を「我慢の運営」が特徴であると分析している。そして、「その次」に来るものとして「俊敏(アジャイル)な経営への備え」が重視されているとし、そのためには、「ガバナンスの整備」「メソッドの活用」「アーキテクチャの最適化」「改革実行能力(ケイパビリティ)の向上」といった4つの方策が必要だと指摘している。