STMicroelectronicsと独Micropeltは、自給型ワイヤレス・センサの評価キット「TE-Power NODE評価キット」を共同開発したことを発表した。
同キットは、電力バックアップおよびパルス電流用の電力ストレージとして、MicropeltのサーモジェネレータとSTMicroの固体薄膜バッテリ「EnFilm」を組合せたもので、電源管理および充電監視回路は、2.4GHzのワイヤレス・リンクを介して付属のグラフィカル・ユーザ・インタフェース・ソフトウェアに接続される。
また同キットの心臓部であるThermoelectric Generator(TEG)は、熱電微細構造層の両端の温度差により生じる熱流束によって電力が発生する物理現象「ゼーベック効果」を利用しており、10℃の有効温度勾配から1.4Vの電圧を生成することが可能。Micropelt独自のパワー・コンディショニングが、この電圧をワイヤレス・センサ・ノードの駆動に十分な電力に変換、さらに余剰熱エネルギーによるバッテリの充電を実施する。
MicropeltのTEG「MPG-D751」は、同キットのアルミ製ベース・プレートとフィン付きヒートシンクの間に実装されており、ベース・プレートを適切な熱源に装着すると、ヒートシンクの冷却効果により、埋め込まれたTEGの両側に温度差が生じる仕組みとなっている。
また、充電式バッテリは、STMicroの固体薄膜バッテリ「EFL700A39 EnFilm」を採用。同バッテリは、700μA/時、UL1642認定済みで、ネットワークと通信中のワイヤレス・センサ・ノードに給電するための大きなパルス状のピーク電流(最大10mA)を出力することができる。
評価キットのベース・プレートが熱源に接触している間は、MicropeltのTEGがシステムへの給電とEnFilmの充電を実施。熱源が除去されるとTEGは停止し、EnFilmバッテリのみがワイヤレス・センサへの給電を行うという仕組みとなっている。
このTEGとEnFilmバッテリの組合せにより、熱給電のギャップが平準化され、対象のワイヤレス・システムに対して実質的に永続的なエネルギー供給が確立されることとなる。
評価キットに含まれているワイヤレス・センサ・モジュールはMicropeltによって設計され、TE-Power SCOPEと呼ばれるグラフィカル・ユーザ・インタフェースとリンクされている。また、ソフトウェアが、TEGとEnFilmバッテリ間の電力バランスの継続的な測定値を含む、重要な熱的/電気的システム・パラメータの表示と記録を行う仕組みとなっており、ユーザは対象のアプリケーションにおけるEnFilmのバッファを備えた熱電電源の性能評価が可能になり、システム設計の簡略化と開発期間の短縮が可能となる。