デルは5月24日、記者説明会を開催し、グローバルおよび国内のそれぞれにおける公共事業とHPC事業への取り組みについて説明した。国内では、エキスパートを増やすなど、HPC事業への取り組みを強化しているという。
初めに、グローバル公共事業統括責任者を務めるポール・ベル氏がグローバルの公共事業とHPC事業について説明を行った。
同社の公共事業の売上は全体の約4分の1を占めており、2010年度第1四半期の売上高は前年同期比22%増の39億ドルだったという。同事業では、「教育」「高度研究教育」「ヘルスケア&生命科学」「官公庁」の分野のソリューションを展開している。HPC関連のソリューションは高度研究教育に含まれる。
グローバルなHPCへの取り組みとして、CERN(欧州原子核研究機構)に関わる大学との連携が紹介された。「CERNのようなグローバルかつ高度な研究機関にとって、最適化されたマシンと標準化されたアーキテクチャが必要。そのため、同社はアーキテクチャを構築した」と同氏。
東京大学はCERNの研究として、膨大なデータが生成される粒子コライダーの研究を行っているが、同社は昨年そのためのシステムを提供したという。「昨年は、東京大学を含め大学に20台のHPCシステムを導入した」
国内の状況については、執行役員 北アジア地域公共事業本部統括本部長の郡信一郎氏より説明がなされた。
郡氏によると、HPC市場は横ばいだがユーザー部門の利用は増えており、いわば"裾野が広がっている"状況だという。「当社はオープンなHPCを掲げているが、オープン性はコスト削減につながるとともに、機能とコストのバランスをとる」
一般に、HPCでは大規模なコンピューティング環境が利用されるが、同社は「サーバ4台から」と小規模なシステムの提供も行っている。同氏は「小規模なシステムのほうが市場において伸びが速い」と説明した。
加えて、国内では人員およびツールの側面から、HPC事業の強化が図られている。まず人員は、他社で実績のあるメンバーを採用し、現時点で5名の専用スタッフがいるという。10人程度まで増員される予定だ。「これまではハードウェアの提供を中心に行っていたが、エキスパートから構成される専門部隊を設けたことで、アーキテクチャの構成まで行えるようになった」
ツールとしては、同社のWebサイトにHPCを設計できるツールとマーケティングツールが用意されている。「従来は、ストレージのスペックなど、HPCに用いるハードウェアの情報を提供していたが、設計ツールによって、システムとして提供することが可能になった」と同氏。
また同氏は「当社のHPC事業の特徴はツールや営業スタッフによる直販でビジネスを展開している点。これにより、HPCの敷居を下げて、これまで利用したくても利用できなかった顧客にHPCシステムを届けていきたい」と語った。