Analog Devices(ADI)は、同社のPLL回路設計・評価ツールの新バージョン「ADIsimPLL バージョン3.3」を発表した。

同ツールは、ユーザが同社のPLLシンセサイザ・ファミリを活用して、RFシステムを評価・設計し、トラブルシューティングするのを支援するもので、同社Webサイトから無償でダウンロードできる。

「ADIsimPLL バージョン3.3」の画面イメージ

同バージョンは、従来バージョンと完全互換を維持しながら新たに16種の新デバイスに対するサポート、位相ノイズ・モデリング精度の向上、フラクショナルNスプリアス・レベル・シミュレーション機能などのアップデートがされているほか、ツールの新しいデザイン・ウィザード、タイム・シミュレーション・エンジン、タイム・ドメイン・シミュレータ機能が強化されている。これらの機能を活用することで、時間のかかる繰り返し操作が設計工程から不要になり、最終的に製品の設計から市場投入までの時間を短縮することが可能となる。

また、新たに追加されたデバイスによる高集積ソリューションをサポートするために、VCOの信号を分周して所望の周波数を出力できる機能が搭載されたほか、ツールのシミュレーションと評価能力も、改善、強化されており、位相ノイズ・シミュレーション・アルゴリズムは、デジタル分周回路と位相検出回路からの1/f位相ノイズを付け加える改良が施されており、キャリア周波数の近くからブロードバンド・ノイズ・フロアまで、高い精度の位相ノイズの予測が可能となっている。

また、フラクショナルNスプリアス・レベルのシミュレーションを支援するために、最初の3つのフラクショナルNスプリアスのワーストケースの量に対する推定値を新たに計算して、位相ノイズ・プロット上に表示することが可能だ。これにより、ユーザは、スプリアス信号の影響を制御するために、さまざまなループ・フィルタ・トポロジー(回路方式)や設計パラメータを評価することができるようになる。

さらに、新しいデザイン・ウィザードや、さまざまな変調オプションをシミュレーションするためのタイム・ドメイン・シミュレータなどの機能も強化されているため、ユーザは、一連のオプションから必要とする周波数を発生させることが可能なほか、タイム・ドメイン・シミュレーション・エンジンには、アンチバックラッシュ・パルスの影響を正確にモデリングするよう改良がなされている。