日本SGIは5月20日、東京大学物性研究所より次期スーパーコンピュータシステムを受注したと発表した。同システムは7月1日から本格稼働に入り、全国の研究者の共同利用による最先端の物性科学研究に活用されるという。
今回同社が受注したシステムは同社の高密度実装クラスタ製品を含む大規模複合システム。多数のノードで並列処理を行う「スカラー型」と、ノード単体での高速処理を実現する「ベクトル型」の2系統のシステムで構成される。
コアとなるスカラー型スーパーコンピュータは、2.93GHzインテル Xeon プロセッサー 5500番台を3,840個搭載。理論演算性能値は180テラフロップスとなり、同社によると国内のスーパーコンピュータでは2番目の理論演算性能値となるという。
このスカラー型スーパーコンピュータにおけるノード間接続には「InfiniBand QDR」と呼ばれるインターコネクト技術が採用され、クラスタファイルシステムには並列分散ファイルシステム「Lustre」が採用されている。
「SGI Altix ICEシリーズ」は同社データセンター製品にも利用され、高効率電源や低電圧メモリ、水冷オプションなどによって省エネ効果が実現可能とされている。
ベクトル型スーパーコンピュータにはNEC製の「SX-9」が採用され、応用計算やプログラム実行のための「計算サーバ」として利用されるという。
同社は2005年にも東京大学物性研究所にスーパーコンピュータを納入しているが、今回のシステム更新によって、「物性物理学におけるスカラー機の活用範囲がますます拡がることが期待されている」(同社)としている。