Google App Engineが発表されて2年が経過したが、その間にクラウドサービスの環境は激変し、Microsoftを含むさまざまな企業が同分野へと参入を果たし、コンシューマからエンタープライズまで幅広く活用法が模索されるようになった。米Googleは5月19日(現地時間)、このようにクラウドのエンタープライズ環境での利用が広がっていることを受け、App Engineを企業向けに機能強化した「Google App Engine for Business」を発表した。
Googleクラウド上でJavaまたはPythonで記述されたアプリケーションを動作させるという点は従来のApp Engineと同じだが、企業での利用を想定して以下の機能が新規サポートされている。
- 複数アプリケーションやドメインを管理する中央コンソールの追加
- 99.9%のSLAとサポートサービスの追加
- セキュアモードがデフォルトに(Google Appsドメインのユーザーのみ許可等)
- シンプルな価格体系の導入(単位アプリケーションが月額1ユーザーあたり8ドルで最大1,000ドルまで)
- 企業向け新機能(SQL DBとSSLドメインの利用が可能に)
なお現時点で利用できるのは最初の項目にある「Enterprise Administration Console」のみとなる。SLA/サポートと課金開始は2010年第4四半期、そのほかのSQL DBとSSLドメインは限定版が2010年内の提供となっている。機能追加の状況についてはロードマップのページを、App Engine for Businessでサポートされる各機能の詳細については専用の解説ページをそれぞれ参照してほしい。
またGoogleではApp Engine for Businessの発表に合わせ、米VMwareと共同で「クラウドポータビリティ」と呼ばれる機能のサポートを紹介している。これは異なるクラウド間でアプリケーションの移動を容易にするもので、Javaで構築されたアプリケーションをApp Engine、VMwareの仮想システム、そして例えばAmazon EC2といった好きな環境上にボタン1つで移動または展開が可能になる。Google I/Oで公開されたデモでは、VMwareのSpringSource Tool SuiteとGoogle Web Toolkitで、作成したアプリケーションを自在に好きなクラウドに展開する様子を見ることができた。