メッセージラボ ジャパン(以下、メッセージラボ)は5月17日、同社が提供するクラウド(SaaS)型セキュリティソリューション「シマンテックホステッドサービス」について、世界で展開しているパートナー向け成功報酬型プログラムを日本国内でも導入すると発表。同日より新規パートナーの受付を開始した。
メッセージラボ(本社: 英国)は2008年にシマンテックに買収され、以降はシマンテックのSaaSビジネスを展開している事業部門。2009年2月には、日本法人もシマンテックのオフィスに統合されている。
「シマンテックホステッドサービス」は、スパムやウイルス対策や特定のメールに対する暗号化などを実現する「ホステッドメールセキュリティサービス」と、URLフィルタリングを行う「ホステッドWebセキュリティサービス」の2種類が国内向けに提供されることになる。海外ではメールに含まれる単語や語句、番号によって機密情報定義データベースと照合し、トラフィックを節約しながら必要に応じて瞬時に暗号化を行う「ポリシーベースエンクリプション」が提供されているが、日本語には未対応なため、当面は上述の2種類が国内向けに提供される。いずれもハードウェアやソフトウェアの購入・設置は不要なため、移行や導入が容易であることが特徴だ。
記者説明会において同社のカントリーマネージャー 山本誠治氏は、調査会社のデータを踏まえながら「クラウド型のメッセージングセキュリティ市場は、2013年には(2008年比で)約3倍になる」と語り、今後のITベンダーにとっては、クラウド型のセキュリティソリューションを持つことが不可欠になると指摘。メッセージラボがこの分野において世界トップシェアであり、急速にユーザー企業数を拡大しているといった今回の施策の背景について説明した。
今回新たに導入されたのは、簡単な登録作業だけで成約ごとに15%の報酬(コミッション)を受け取ることができる「アソシエイトプログラム」。これには、成約件数にノルマ(最低5件/年)が課せられる「プレミアムアソシエイト」と、ノルマはないが2年目以降は報酬の支払いがなくなる「アソシエイト」の2種類が用意される。山本氏は、「ノルマ未達成の場合は"格下げ"のペナルティが発生するため、最初は『アソシエイト』で始めて、2年目以降に『プレミアムアソシエイト』に移行するというケースもあるのでは」としたが、「オーストラリアでは月に50~60件の成約を達成している例もある」など海外ではこのプログラムが比較的機能しているという。
なお、これらのプログラムではユーザーからの問い合わせなどのサポートをメッセージラボ側が直接受け付けることになるため、パートナー側にサポートに関する負担は発生しない。
同プログラムは主にコンサルタント(製品の「売上」をさほど重要視しない事業者)が対象とされている。ただ山本氏は、「これまで"契約"というハードルによって参入に二の足を踏んでいた小規模な事業者も、セキュリティビジネスに容易に参入できる」とし、「今後はITベンダーのみならず、個人事業主も含めた他業種からの参入も想定している」とした。同氏によると、「実際に商工会議所からの問い合わせもある」という。
パートナーの獲得件数などの目標値について山本氏は、「日本市場でのニーズは現時点では把握しきれない」としながらも、同プログラムは「日本でSMB(小規模)向けビジネスを広げていくというシマンテックのミッションに対して大きな役割を果たす」としている。今後はシマンテックとの共催セミナーなどを活用しながら、潜在的なパートナーの発掘に注力していくという。