富士通は5月17日、薬学部学生向けの「薬学共用試験」の1つであるCBT(Computer Based Testing)のシステムを特定非営利活動法人 薬学共用試験センター(以下、共用試験センター)と共同で構築したことを発表した。

「薬学共用試験」とは、薬剤師を目指す大学4年生に対して実施されれるもので、5年次の実習(約5ヵ月間)の前に、学生が全国共通の統一基準に達しているかどうかを判断するものとされている。これにはコンピュータを使用した基礎テスト「CBT」と、調剤や患者に対する接遇といった課題が盛り込まれた実技試験「OSCE(Objective Structured Clinical Examination)」の両方が含まれ、ネットワークでつながった全国73薬系大学74学部で実施される。

今回同社が発表したシステムは、共用試験センターのセンターサーバから各大学に設置されている中継サーバを経由して試験当日に問題を送信するというもので、試験問題(310問)はランダムに選別される。また、受験時の不正を防ぐため、試験問題の表示にはWebブラウザではなく独自開発のアプリケーションが利用される。

共用試験は医学部や歯学部ですでに実施済みとなっているが、「大学でのCBTにおいて、ネットワークをつないで運用するのは初めて」(同社)とのことだ。

また、富士通と共用試験センターは試験問題の正答率を一定にするために2007年からトライアルを3回実施。CBTシステムに「項目応答理論」(受験者の正否の応答パターンをもとに能力レベルを計算。テスト集団のレベルやテストの種類に左右されずに個人の能力を絶対スコアで表せるという特長を持つ)を適用した問題配布機能を持たせることによって、平均正答率82.8%、合格率99.3%、計9,338名の学生が合格し、5月17日からの実習に際して学生の能力の適正評価が可能になったという。

今回のCBTシステムのハードウェア構成は以下の通り。

  • センターサーバ: PRIMERGY RX-3004台/IPCOM S2000 中継サーバ: PRIMERGY TX-20074台

「CBTシステム」のイメージ