NECは5月17日、データセンター(DC)向けに「Intel Atomプロセッサ N450」を活用することで、従来サーバに比べ、省電力化と省スペース化を実現したサーバ「Express5800/E110b-M」を発表した。即日販売を開始しており、6月21日より出荷開始の予定。
NEC執行役員の丸山隆男氏 |
同サーバが開発された背景について、同社でITハードウェア関連を担当する執行役員の丸山隆男氏は、「ネットワークの進化にともない、データセンターを活用したクラウド指向のシステムを考える企業などが登場してきた。こうした動きに対し、NECでは次世代IT基盤としてREAL IT PLATFORM Generation2をうたっており、今回はサービス事業者のデータセンターにおけるクラウド基盤の提供を目指したモデルを開発した」と説明する。
特に、物理サーバによるホスティングサービス向けに求められる省スペース、省電力、低コストといった要件を兼ね備えたサーバラインナップが弱かったこともあり、そこの強化の意味も込めてAtom搭載サーバが開発されたという。
Express5800/E110b-Mは、Atom N450の搭載に加え、共有電源ユニット「EcoPowerGateway」も採用。これにより、「高密度で省電力なシステムを構築可能となった」(同)としており、3Uのエンクロージャで最大20サーバ、42Uラックに最大240サーバを搭載することが可能となっている。これにより、CPUからの発熱が抑えられることから、一般的な稼働温度(35℃)に比べ5℃高い40℃の環境でも稼働が保証されるようになったほか、複数サーバの電源を共有することで、負荷分散により、電力使用の平準化が可能となり、サーバごとに電源を搭載する従来方式に比べ、約10%の省電力化が可能となった。そのため、現行のiシリーズ(1Uハーフサイズ)「iR110a-1H」と比べ、最大70%の省電力・省スペース化が実現可能という。
具体的には、デモとして、10台のE110b-Mを稼働させたものと、iR110a-1Hを10台稼働させたものの負荷をかけた状態の消費電力が提示された。E110b-M×10の場合で230W、iR110a-1H×10の場合で875Wとおよそ73%の省電力化が図られたことが示された。こうした省電力化により、240台のサーバ構成で従来機種と比べた場合、フロアコストの削減も可能となることから、年間で約1,000万円の電力およびフロアコストの削減効果が見込まれると同社では見込んでいる。
また、運用効率の向上に向けた工夫も施されている。サーバマネジメントチップ「EXPRESSCOPEエンジン2」を標準で搭載したことで、LAN/WAN経由によるリモートアクセスのほか、OSに依存しない形でBIOSやPOSTまで含めた電源制御などが可能であったり、標準的なコマンドラインインタフェースが提供されているため、独自のカスタマイズなども可能となっている。
同社では、「従来のiモデルとECO CENTERを統合し、今後は新たなECO CENTORとして省電力、高収容性、高運用性など共通の価値を含めた用途に応じたニーズに合わせた製品の提供を進めていく計画」(同)となる第1弾として同製品を位置づけしており、データセンター以外にもHPC分野における並列処理や、ゲートウェイサーバとしての活用、オフィスでの活用などの分野での適用も目指していくとし、販売開始1年間で、ECO CENTOR全体で前年度比で約8,000台増となる2万3,000台の販売を目標としており、E110b-M単体としても、「その内の2割くらいを占めたい」(同)と意気込みを見せる。すでに複数社からの受注が発生しているとのことで、今後も「データセンターで求められるニーズをいち早く取り込んだ製品の提供を目指す」(同)と意気込みを見せる。
なお、価格はE110b-Mが6万3,000円(税別)から、EcoPowerGatewayが24万円(税別)から、となっており、1台あたりメモリ2GB、160GBのHDDを搭載した80台構成の場合で、およそ1,000万円程度となるとしている。