アドビの期間限定ギャラリー「station 5」にて、レタッチャー 宮本准氏によるセミナーが開催された。セミナーでは5月28日に発売される「Photoshop CS5」を使って、落語家の林家ペー・パー子をスーパーモデル風に加工するというユニークな試みがおこなわれた。セミナーには、モデルとなった林家ペー・パー子のふたりも登場した。
このセミナーは、アドビのオンラインマガジン「DEKIMAGA」との連動企画。「DEKIMAGA」のトップページ用に作られた林家パー子さんのレタッチ写真が、どのように仕上げられたかを、宮本氏がライブで実演した。宮本氏は「レタッチの作業は5~6時間で、その後の細かい調整を含めると10時間くらい」と語った。(※林家パー子さんの画像加工には「Photoshop CS4」が使用されています)
林家パー子さんが「Photoshop CS5」で美麗モデルに!
宮本氏は「プロのレタッチャーの操作を生で見せる機会はほとんどありませんね。人によっても作業方法は違うと思います」とコメントしてから作業を開始した。
宮本氏がまず紹介したのは「ゆがみ」ツール。林家パー子さんの腰を細くしたり、手足を長くするのに使用。宮本氏は「今回の要求はスーパーモデルですからね」と事情を説明し、作業を続けた。顔を80%程度縮小し、全体のプロポーションを整えた後、顔のシワや影、衣服の段差などを消していく宮本氏。ここは細かくマスクを切ってトーンカーブで調整していた。
顔の調整作業中に「みなさんも使ってみてください」と紹介したのは、フィルターの「ダスト&スクラッチ」。肌をツルッと滑らかに見せたいときは、ダスト&スクラッチを30~40%程度かけると、ファンデーションを塗ったような感じになると言う。顔の他にも、手の甲の血管を自然に消すときにも使えると言う。
宮本氏が歯の形を修正しているときに栃谷氏は、「そこまでやるんですか。さすがプロです」と話すと、宮本氏は「どうでもいいようなこともやります。レイヤーはわざと細かく分けます。こうしておくと、いつでもクライアントに言われたら修整できるんですよ」と説明した。宮本氏は、レタッチは仕事全体の6割だと言う。残りの4割は修正作業なので、割合としてはかなり大きい。
作業の最後に、トーンカーブで全体のコントラストを上げつつ、彩度を少しだけ落とした。これでファッション誌のモデルのような仕上がりとなった。まるで別人のような写真が完成した。
林家ペーがイケメンモデルに変身
今度は林家ペーさんを「イケメンモデル」にレタッチするというサプライズ企画。宮本氏が得意の「ゆがみ」ツールで顔の輪郭や眼の形などを変更すると、みるみるうちにジャニーズ系の顔に変化する。シワやシミ、ホクロなどが、次々と消されていく。最後は鼻筋と髪型を整え終了。
閉会後に宮本氏にイベント後の感想を聞くことができた。今回のデモで紹介したファイルサイズは6GBだったが、いままでの仕事で扱った最大容量は、なんと約10GBにも膨れ上がったことがあるとのこと。このように合成写真のファイルサイズが大きくなったのは、デジタルカメラが普及してきてからだと言う。今後、デジカメの高画素化が進むと、さらにもっと大きくなるのかもしれない。最後に「今回のセミナーで手の内を明かしてしまったのでは?」と質問すると、宮本氏は「ええ、でもまだまだ技はたくさんありますから」と笑顔を見せてくれた。