5月13日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2009年度4月の全国企業倒産の集計結果が発表された。同期の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では962件/2,545億800万円、商工リサーチの発表では1,154件/2,696万9,600万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2009年4月の全国企業倒産の件数は、前月比で16.2%(1148件)、前年同月比で17.7%(1,169件)の減少となり、8ヵ月連続で前年同月を下回った。前年同月比17.7%は、1月の17.9%に次いで集計基準変更後で2番目の減少率。
2009年4月の全国企業の負債総額は前月比で14.1%(2,963億8,300万円)、前年同月比で49.8%(5,074億4,300万円)の減少となり、3ヵ月連続で前年同月を下回った。集計基準変更後では、2009年10月の2,513億9400万円に次ぐ2番目の低水準。
全国企業倒産件数・負債総額の推移 資料:帝国データバンク |
業種別では、3ヵ月ぶりに7業種すべてが前年同月を上回った。なかでも、建設業(234件、前年同月比48件減)、卸売業(142件、同54件減)、サービス業(167件、同37件減)の3業種は、前年同月より30件以上の大幅減少となった。
4月に再び減少幅が広がった主要な要因として、「金融機関による積極的なリスケジューリング対応の浸透」、「3月に急増した建設業の反動減」、「関東、近畿など都市圏の大幅減少」が挙げられている。
同社では、「国内景気は好調な新興国需要と経済対策に支えられて緩やかに回復しているが、外需と政策効果の恩恵も地域や業種間でバラツキがあるのが実態。今後は、通常6ヵ月が多いとされる金融機関のリスケ期間中に本業の業績をどれだけ改善できるかにある」としている。
また、6月以降は多くの企業でリスケ後の返済再開可否が判断される時期を迎え、公共事業費の大幅削減で地方圏を中心に建設業の大幅増が見込まれほか、6月18日には改正貸金業法の完全施行が予定され、貸し手と借り手双方への影響拡大も懸念されるという。
商工リサーチの調査結果
2009年4月の倒産件数は、前月比で12.1%(1,314件)、前年同月比で13.1%(1,329件)の減少となり、9ヵ月連続で前年同月比減少となった。都道府県別では、31都道府県で前年同月を下回り、全国的な減少傾向が続いている。
ただし同社では、最近の月次推移を見ると、2009年3月をピークに続いている減少傾向も2010年1月を谷として増加基調がうかがわれることから今後の動向が注目されるとしている。
2009年4月の負債総額は、前月比で13.1%(3,109億4,700万円)、前年同月比で48.2%(5,219億4,900万円)の減少となり、3ヵ月連続で前年同月を下回り最近1年間で最少金額となった。その要因は、負債100億円以上の大型倒産が2件(前年同月11件)にとどまったことが影響したという。なお原因別では、販売不振を中心とした「不況型」倒産の構成比が過去2番目に高率の83.5%を占めて厳しい経営実態を反映している。
全国企業倒産件数・負債総額の4月の年別推移 資料:商工リサーチ |
産業別の倒産件数は、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、情報通信業(31.8%増、44件から58件)と小売業(4.4%増、136件から142件)の2産業のみ増加した。小売業は8ヵ月ぶりに前年同月を上回ったという。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、8地区で前年同月比を下回った。増加したのは四国28.0%増(25件から32件)。