2010年5月12日~14日までの3日間、「組込みシステム開発技術展(ESEC)」が東京ビッグサイトで開催されている。ESECは今年で13回目を数えるほか、他に9種類のEXPOが同時併催となり、東京ビッグサイトの東ホール全部と西ホールを使っての開催である。初日である12日は、朝方小雨が降っていたものの、かなりの人出となった(Photo02)。このESECをざっと廻って、面白いと思ったものを幾つかピックアップ、御紹介したい。
Photo01:東ホールにESECを含めて7つのEXPOが集まり、西ホールにグリーンIT/データストレージ/情報セキュリティの各EXPOが開催された |
Photo02:これは東ホール奥の通路の様子。それなりの人出であった |
ルネサス エレクトロニクス
2010年4月1日にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが合併して誕生した同社。今回は合併後初の展示となる。5月11日の決算発表の中でも触れられていた「SoC事業の戦略部門・製品群を再定義し選択と集中」が今回展示にどの程度の影響を与えているか、が一番の見所ではあったのだが、今回はまだそうした選択/集中はなく、とりあえず元々持っていた製品ポートフォリオを用途向けに整理して展示、ということになった。
この結果、例えば車載向け実用例(Photo03~08)、ユーザーI/F関係例(Photo09~11)には旧ルネサス テクノロジの例が集中していたが、これはたまたま展示の用意が出来ていたのが旧ルネサス系だったので、それをまとめて展示したということであり、別に車載向けやユーザーI/Fに旧NECエレクトロニクス系の製品は使わないという訳ではない(というか、まだそうした事は一切決まっていない)と説明があった。実際会場には三菱自動車のiMiEVが展示されており、その個別電池セルの監視ユニットにはV850ES/Fx3-Lが(Photo13)、車載充電ユニットやモータ制御ユニットにはSH-2がそれぞれ採用されていることがデモされているほか、ホームエレクトロニクス向けの分野(Photo14~20)では両社の製品が混在している。ただこうなってくると、ますます持ってアーキテクチャの片寄せは難しいように感じられるわけで、今後の舵取りが興味ある部分だ。
Photo06:こちらもSH-Navi3を使い、ステレオカメラ(CCDを2つ並行にならべたカメラ)を使って、そこから距離を判断するデモを実施中 |
Photo07:やはりSH-Navi3を使い、トップビュー(車体上部に置いたカメラ)により駐車アシストなどを行わせるためのデモを実施中 |
Photo08:SH7226を利用し、モータ制御と同時に故障監視を行うデモ |
Photo09:静電容量式タッチセンサI/Fを搭載したR8C/33Tファミリを使った開発キット |
Photo10:LCDコントローラとタッチセンサを内蔵した1チップマイコンの開発キット。RX62Nファミリを利用している |
Photo11:SH7216に音声認識処理を行わせたデモ。本来はこの先に、例えばモータを接続することで「音声指示可能エアコン室内機」を作るといった事を想定している |
Photo12:ルネサス エレクトロニクスのロゴ入りiMiEV。会場内に展示されている |
Photo13:V850は電池セルごとに搭載され、CAN I/F経由で本体のバッテリ管理ユニットと通信を行う構成 |
Photo14:車載充電ユニットは64MHz駆動のSH-2コアが充電電流制御と電力変換を担っており、モータ制御ユニットは40MHzのSH-2コアで3相モータ制御を行っている |