NTTデータは5月11日、2010年3月期の連結決算を発表、売上高は前期比38億円増の1兆1,429億円、営業利益は前期比168億円減の816億円、経常利益は前期比198億円減の757億円と増収減益となった。

受注高は前期比1,463億円増の1兆1,815億円となった。前期比から大幅増になった要因としては、公共・金融分野における既存顧客向け案件の獲得、連結子会社の拡大などがある。

2009年度通期業績

2010年度通期は、受注高で前期の金融系システムの大型受注の影響から前期比1,815億円減の1兆円を予測しているが、売上高は銀行・クレジットの金融系システムや連結子会社の業績回復などにより前期比570億円の1兆2,000億円、営業利益は増収の影響などから前期比83億円の900億円と、増収増益の見通しとなっている。

2010年度通期業績予想

NTTデータ 代表取締役社長 山下徹氏

代表取締役社長の山下徹氏は、中期経営計画の重点施策への取り組み状況について説明を行った。

グループ事業については、「利益改善が急務」と同氏。そのために、NTTデータ本体から子会社ソフトウェア発注を促進し、内製化を高めてグループ全体の稼働率を向上するとともに、財務・販売・人事といった間接業務の効率化、ビジネスプロセスの標準化を図る。現在、グループ会社は160社を超えるが、積極的に統合を行っていくという。

また、「サービス」「SI」「ソフトウェア」をビジネスの3本柱として、それぞれ20%から30%に、75%から65%に配分を変更することが目標とされていたが、今回サービスを40%に、ソフトウェアを10%に引き上げることが発表された。具体策として、クラウドへの投資を強化する。

決算発表会では、M&Aとグローバル化について質問が集中した。同社はM&Aの重点分野を「ソリューション提供力の向上・強化」、「グローバルカバレッジの拡大・強化」、「ソフトウェア開発力の強化」としているが、グローバルビジネスを率いる代表取締役副社長の榎本隆氏は、これらのうちグローバルカバレッジの拡大・強化に注力すると述べた。

「2013年3月期の海外売上高目標の3,000億円を達成するには、"NTTデータアメリカ"や"NTTデータヨーロッパ"といった、欧米で基盤となる企業を作る必要がある。それには、グローバルなプロジェクトを手掛けられるだけのスキルが必須。BMWの案件でヒューレット・パッカードに負けて、レベルの違いを実感した。まずは、グローバルでSAP製品をサポートできる体制を築いていきたい」

榎本氏は、同社がハードウェアベンダーと異なり、テレコミュニケーションを母体とする企業グループの一員であることを強みとして、グローバルビジネスに取り組んでいきたいと語った。