アドビ システムズは表参道にオープンしているギャラリー「station 5」にて、「Photoshop」の歴史を振り返る「Photoshop 20周年記念セミナー」を開催した。このセミナーでは、Photoshopの誕生から現在までが紹介された。前編に続きPhotoshopの歴史を紹介していきたい。

ついにレイヤー機能を備えたPhotoshop 3.0

「Photoshop 3.0」で初めて登場した「レイヤー」機能。ユーザーは初めてPhotoshop 3.0でこの機能に触れたが、実は前バージョンの2.0の「PSD」ファイルのなかには、すでに1枚だけレイヤーが隠されていたそうだ。以前からレイヤーの概念はあったのだが、ツール上に実装されていなかったため、「レイヤーが誕生したのは3.0から」ということになっているそうだ。

レイヤー機能の搭載により、画像の合成が簡単に行なえるようになった

「使いやすさ」を追求した「Photoshop 4.0」~「Photoshop 5.5」

「Photoshop 4.0」では「調整レイヤー」と「アクション」が追加され、「Photoshop 5.0」では念願の「ヒストリーパレット」と「マグネット選択(なげなわツール)」。そして、「Photoshop 5.5」になってWeb用画像に特化した同梱ツール「ImageReady」が登場した。 ヒストリーパレットについてアドビ システムズの栃谷氏は、「1997~98年ごろの写真合成は毎回が勝負。その度に計算して画像を動かしていました。でも、ヒストリーができてからは、作業に対して緊張感がなくなってきました。何度でも試せますから」と、当時の作業環境を振り返った。

「Photoshop」の名が専門職以外の一般人にまで広がってきた時代の製品

「Photoshop 5.5」では、サイズの小さい画像「Web用に保存」が追加された。Web上でどのように見えるかをjpgやgifでシミュレーション可能に

「Illustrator」との連携を強化した「Photoshop 6.0」

「Photoshop 6.0」では、「Illustrator」で作ったデータとの連携が強化された。追加された機能は、「ベクトルシェイプツール」や「ゆがみフィルタ」、「レイヤースタイル」、「レイヤークリッピングマスク」など。また、文字を直接画像上に入力できるようになったのもPhotoshop 6.0が初めてだ。そして、フィルター数はついに90種類を超えた。機能面では優れているものの、栃谷氏にとっては苦い想い出があるという。栃谷氏によると「6.0は評判がイマイチでした。画面上部にツールオプションバーがついてジャマという声が多く、しょっちゅう謝っていましたよ」とのこと。

栃谷氏は持参したパッケージのデザインについて想い出を語った。この絵はベクトルツールの強化を示すメッセージだったそうだ

Photoshop 6.0からはグラフィック上に直接文字を描き、変形させることが可能になった

エンジンを刷新した「Photoshop 7.0」

「実にすばらしいツール。いまでも深い思い入れがある」と、栃谷氏が熱く紹介したのが「Photoshop 7.0」。この製品には新しいペイントエンジンが搭載され、レタッチだけでなく絵を描くユーザーにも歓迎された。それに伴い、ワコムのタブレットも流行した時代だと言う。また、リリース時期がMac OS 9からOS Xへの過渡期で、両対応にさせたのも「Photoshop 7.0」だけだとのこと。

「Photoshop 7.0」の新機能で注目を浴びたのは、人物のシワを簡単に消せる「修復ブラシツール」。最新版の「Photoshop CS5」では、このころ誕生した技術を使って機能拡張を行なっているようだ。

多様なブラシがプリセットされており、絵を描くユーザーに喜ばれていたとのこと

いまでこそ「Adobe Bridge」と名前が付いているが、この当時は「ファイルブラウザ」としか書かれていない

続報では、「Photoshop CS」シリーズの歴史を紹介