Microsoft(MS)は、組込機器の開発・製造業者向けにWindows 7ベースのオペレーティングシステム(OS)である「Windows Embedded Standard 7」を6月1日より提供開始することを発表した。

マイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャの松岡正人氏

同OSはこれまで「Windows Embedded Standard 2011」と呼ばれていたもので、名称の変更についてマイクロソフト OEM統括本部 OEMエンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャの松岡正人氏は、「これまで年号を用いてきており、当初は2011とする予定だった。しかし、2009年に発表したWindows 7が思いのほか好調で、エンベデッドも同様の名称にすることを年末年始で検討、カスタマなどの意見も取り入れて結果として名称の変更が決定された」と説明する。

Windows 7をベースとしたことで、「例えばこれまで個別に作るしかなかったセンサ用APIなども標準で提供することが可能となるほか、コンポーネント化された各機能を活用シーンに合わせて自由に組み合わせることで、それぞれの機器の特性に応じた構成が可能となる」(松岡氏)といった特長を実現できるようになる。

Windows Embedded Standard 7はエンタープライズとコンシューマの2つの市場向けに提供されるもので、エンタープライズ向けにはSystem CentorやActive Directory、Windows Azureといった管理ツールなどとの組み合わせた活用や、ユニファイドコミュニケーションとしてネットワーク経由での情報のやり取りの容易化が可能となることから、「これまでITの分野で使われていた技術やコンテンツを容易に組み込みの世界に導入することが出来るようになる」(同)とする。

エンタープライズ向けとしては、各種の管理ツールなどとの連携によりWindows 7と同OSの共存が社内で可能となったり、USBメモリからのブートなどとの組み合わせた活用などができるようになる

また、Windows 7がベースとなっていることで、頻繁にアプリケーションを改変したりするようなビジネスにおける開発効率の向上にもつながるという。

ネットワーク化された(コネクテッド)デバイスの増加により新しいビジネスが生み出されるというのが同社の主張

一方のコンシューマでは、Xbox LiveEやZune、Windows Live、bingといった各種サービスとつながるデバイスを作ることが容易となる。「日本ではカーナビゲーションの分野が成功している分野。まだまだコンシューマ分野は変化していく市場。変化がもたらす新しいニーズに向けた付加価値をWindows Embedded Standard 7で提供していければ」(同)と日本市場での躍進を狙う。

各種サービスとの連動によるネットワーク活用デバイスの開発が容易になるという

また、Windows Media Centorにより、これらの機能をカスタマイズしたSTBなども開発することが可能となる。

Windows Media Centorを活用したユーザーエクスペリエンスの向上を実現するデバイスも用意に開発することが可能となる

具体的な日本市場向けの戦略としては、「小売り市場での新しい価値の提供を目指している。特にデジタルサイネージの活用については注力している」(同)としており、コンセプトモデルによる活用提案や講演なども各種展示会などで行っていく予定としている。

なお、Windows Embeddedは同Standardのほか、Windows Embedded EnterpriseやCEの次世代版である「Windows Embedded Compact」といったクライアント別のプラットフォームが用意されているほか、カテゴリ別のソリューションとして「Windows Embedded POSReady」や「Windows Embedded NavReady」「Windows Embedded Automotive」などが用意されている。この内、Windows Embedded Compact 7とWindows Embedded Automotive 7(開発コードネーム:Motegi)については2010年末までにリリースされる予定としている。

Windows Embeddedの製品ラインナップ

Windows Embeddedの製品ロードマップ