Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)は4月27日(台湾時間)、2010年第1四半期の決算概要を発表した。これを受けて同社日本法人であるTSMCジャパンは5月7日、同決算概要の説明と同社の現況についての説明を行った。
TSMCジャパン 代表取締役社長の小野寺誠氏 |
同四半期の業績は、売上高が当初予測値の上限910億ドルを上回る前年同期比133.4%増、前四半期比0.1%増の921億9,000万NTドル、営業利益率は予測上限の37%で、営業利益は336億6,000万ドルとなった。また、ウェハの出荷枚数は200mm換算で前年同期比185.5%増、前四半期比4.8%増の254万7,000枚となっており、TSMCジャパン代表取締役社長の小野寺誠氏は「2010年第1四半期は通常のサイクルよりは若干強めの成長を果たした。2009年の第1四半期から順調に回復してきている」と順調な成長を強調する。
売り上げにおけるアプリケーション別比率はコミュニケーションが39%、コンピュータが32%、コンシューマが14%、産業機器/その他が15%となっている。
また、プロセス別の売り上げ比率は40nmが14%、65nmが27%、90nmが17%、0.11/0.13μmが13%、0.15/0.18μmが18%、0.25/0.35μmが8%、0.5μm以上が3%となっており、40nmと65nmの先端プロセスの売り上げ比率が40%を突破している。特に40nmについては「前四半期は4%の比率だったものが14%まで成長してきた。ここに我々は投資を進めており、その投資に伴う結果が得られてきている」と説明する。
第2四半期の予測としては、売上高が100億~102億NTドルと「TSMCとして初めて100億NTドルを突破し、四半期としては過去最高となる見通し」(同)としており、売上利益率が48~50%、営業利益率が36.5%~38.5%の間としている。
同社の2010年の設備投資額は期初に48億ドルとしているが、第1四半期に14億4,400万ドルを投じている。これについて「過去最大規模の設備投資となっているが、現状の引き合いを積み増すと現在の実際の生産能力を3割以上超すこととなる」(同)という状態であり、前倒しで生産能力増強を進めており、300mmウェハ対応工場であるFab12(新竹)、Fab14(台南)の生産能力は第2四半期にそれぞれ30万枚、29万9,000枚となり、月産10万枚規模のギガファブとなることが確実となった。加えて、第3のギガファブを目指し、台中に新たな300mmウェハ対応Fab「Fab15」の建設を決定。2010年半ばから建設が開始される予定となっている。
2010年第1四半期の設備投資額とその投資先 |
300mmウェハ対応工場のFab12とFab14はそれぞれ生産能力拡充を進めており、Fab12のフェーズ5は年内の量産開始を予定している |
TSMCの2010年の生産能力拡充計画。全体で年末までに生産能力は前年比で13%の増強となる予定 |
このFab15は、40nmプロセスからの生産を開始、28nm、20nmと順次微細なプロセスへと移行を行い、さらにその先の超微細プロセスへの対応も計画がされている。40nmプロセスについては、Fab12、Fab14でも生産を行っており、3番目の拠点となる予定。
2010半ばに最初のテープアウト、2011年上期の量産開始が予定されている28nmプロセスについてはFab12より生産が開始され、「かなりの量がFab15に回されると見ている。Fab15については先端プロセスの重要拠点としていく方針」(同)としているほか、「全世界で20数社が28nmプロセス向けの開発をすでに開始しており、日本でも複数社が開発を進めている」(同)と、予想以上に強い勢いでプロセスの移行が進められていることを強調した。 なお、同社では2009年通期決算時の2010年の半導体業界の市場見通しを今回見直し、半導体市場全体が前回予測から4ポイント増の22%成長、PC市場が同3ポイント増の17%成長、ハンドセット市場が同1ポイント増の13%成長、デジタルコンシューマ市場が修正なしの7%としているほか、ファウンドリ市場については半導体市場を上回る36%の成長となると予測している。