パナソニックは5月7日、2010年4月~2013年3月を対象にした新中期経営計画を発表した。

今回発表された経営計画には「Green Transformation 2012」という名称が付けられている。2018年に迎える創業100周年に向けたビジョン「エレクトロニクスNo.1の『環境革新企業』」に基づき策定されており、「成長へのパラダイム転換」、「環境革新企業の基盤づくり」の2つのテーマが掲げられた。

成長へのパラダイム転換という点に関しては、「既存事業偏重からエナジーなど新領域へ」、「日本中心から徹底的なグローバル志向へ」、「単品志向からソリューション・システム志向へ」という方針が示され、環境革新企業の基盤づくりに関しては、「成長をベースとした収益力強化: グローバルエクセレンス指標の追求」、「環境貢献の拡大: グリーン指標No.1の基礎固め」という目標が設定されている。

2012年度(2013年3月期)までの具体的な経営目標は以下のとおり。

  • 営業利益率 : 5%以上
  • 売上高 : 10兆円
  • フリーキャッシュフロー : 8,000億円以上(3年累計)
  • ROE : 10%
  • CO2削減貢献量 : 5,000万トン

また、成長へのパラダイム転換を実現するための指標として、以下のような「トランスフォーメーション指標」も設定されている。

指標 2009年度 2012年度 2018年度(参考)
新領域 6重点事業売上比率 35% 42% 55%以上
エナジーシステム事業売上高 5,400億円 8,500億円 3兆円以上
グローバル 新興国売上高 4,400億円 7,700億円
海外売上比率 48% 55% 60%以上
ソリューション・システム システム・設備事業売上高 2.2兆円 2.6兆円 3.5兆円以上
 システム・設備事業の海外比率 33% 39% 50%以上

上記の"6重点事業"には、「エナジーシステム」、「冷熱コンディショニング」、「ネットワークAV」、「ヘルスケア」、「セキュリティ」、「LED」が挙げられている。このうち、エナジーシステムの具体的な事業としては、「太陽電池」、「燃料電池」、「リチウムイオン電池」、「エネルギーマネジメント」が列挙され、太陽電池においては、「2012年度グローバル販売容量900メガワット、国内No.1」、「2015年度 世界トップ3」という目標が掲げられた。

なお、この発表に併せて同社は、現地主導の商品づくり強化を目的として、2010年度中に「グローバルコンシューマリサーチセンター」を設立することも発表した。

こちらは、「新興国市場のボリュームゾーン攻略では、現地の生活実態の徹底把握・理解に基づいた『お客様起点での商品企画力』が極めて重要」という考えの下に実施される施策で、インドやブラジルなど重点新興市場の各地域に現地生活研究拠点を新設したうえで、グローバルな生活研究ハブ拠点として日本国内に「グローバルコンシューマリサーチセンター」を設置する。これにより、「現地の最適化とグローバル効率のバランスを見極め、より標準化された新興国向け商品の開発に取り組んでいく」という。

加えて、ヘルスケア事業の強化の一環として、2010年10月1日付けで子会社の「パナソニック四国エレクトロニクス」を「パナソニック ヘルスケア」へと商号変更することも明かしている。